編集部|マンガ

33歳で子宮頸がんを経験した漫画家が語った闘病中のこと、そして伝えたいこと――「少しでも異変を感じたら病院に行ってほしい」

アラサーを迎えて、身体の不調をより気にするようになった。20代前半の頃は「若いから」できていたことも、だんだんと難しくなってきた(徹夜とか……)。
「まだ私は大丈夫」とか、なんとなく不調を感じてもそのまま放置していたら、取り返しのつかないことになってしまう危険性だってあるのだ――。

『さよならしきゅう』は、漫画家・岡田有希さんが子宮頸がんを宣告され、がんとの闘いを描いた闘病コミックエッセイ。宣告されてから手術するまで、そして術後の様子が、岡田さんや家族の心情とともに描かれている。そして『さよならしきゅう そのあと』は、術後5年経った日常を描いた作品。今回はそんな2作品を描かれた岡田さんに、改めて当時のこと、そして“その後”を描こうと思った理由など、たっぷりとお話を伺った。インタビュー後編では、闘病中に“不安”とどう向き合っていたか、そしてアラサー女子に伝えたいことについて。
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\インタビュー前編はこちら/

闘病中は不安ばっかりで、むしろ“向き合いすぎない”ようにした

――『さよならしきゅう』の巻末に「症状よりも不安な気持ちのほうが辛かった」「元気がもらえるような闘病記を読みたくて『さよしきゅ』を描こうと決めました」と書かれていましたね。

岡田有希さん(以下、岡田) もうほんと、不安ばっかりでしたね。痛みって、その時だけじゃないですか。いずれ終わるとわかっているし、のちのちネタになると思えば乗り越えることもできるけど、不安な気持ちって出口がない。実は私、もともとパニック障害をわずらっていて。子宮頸がんを宣告されてからは、ずっと「私の身体にいったい何が起きるんだろう」「もう死んでしまうのかもしれない」っていう恐怖と不安が消えなくて、どうすれば解消できるかわからなくて本当つらくて。
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――その気持ちを、どうやって乗り越えていたんですか?

岡田 乗り越えた瞬間はなかったと思いますけど……病気と“向き合いすぎない”ようにはしていましたね。今って、医師との面談前に自分で病気について調べる人が多いらしいんですけど、私は子宮頸がんの疑いがあるとわかってからも、なにもしなかったんですよ。知識が増えるほどきっと恐怖は増すし、自分がどうにかなっちゃう気がして、できるだけ情報を入れたくなかった。
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――「向き合いすぎない」というのは、けっこう大事なことかもしれませんね。

岡田 向き合いすぎたら、動機が激しくなるとか、症状がでるのは経験則でわかっていたので……。最初にパニック障害を発症したのが小学6年生のときで、不安とのつきあいは長いんですよ。出口が見えなくて怖くなってしまったら、とにかく気をそらして楽しいことをするのが大事っていうのもわかっていて。

――病院の待合室でお母さまと『ダイヤのA』を読んでいた場面が好きでした。動揺しているお母さまが「おもしろいわ~!!」と笑い、「娯楽って大事だな……」と岡田さんが実感する。
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岡田 告知されてからずっと、全神経を娯楽に向けて過ごしていたので、母も通常の状態じゃないのがわかっていたから、何冊ももっていったんです(笑)。そのあたりから私も母も、落ち着かないときはマンガを読むのが癖になっていましたね。楽しい、おもしろい、と思っている間だけは不安を忘れていられるので。ふだんだったら「逃避してる」「堕落してる」って思ってしまうところですが、あのときは本当に助けられた。だから自分でも、闘病記を描くならエンターテインメントにしたいと思ったんです。

――つい笑ってしまうところが多くて、きっと読者の救いになるだろうと思いました。『そのあと』もそうですが、岡田さん、ポジティブなことやおもしろいことを見つけるのがお上手ですよね。

岡田 パニック障害というと誤解されやすいんですが、もともとの私はすごくポジティブで明るい性格なんですよ。とくに我慢していたとか無理していたとかでもないし。自分の意思や性格とは全然関係ないところで発症する、というのが不思議ですよね。
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