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21.Mar.2018

【モードルイス】『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』「俺が上でお前が下」という男を、うまーく懐柔する方法

カナダの国民的な女性画家、モード・ルイスが描く絵は、失礼を承知で言えば「ヘタウマ」な感じなのですが、色とりどりに自由に描かれた花や動物が素朴で可愛らしく、誰もがほのぼのほっこりした気持ちになります。彼女の小さなお家は、壁も窓も階段も、内側も外側もその画がびっしりと描かれて、まるで童話の中のお家のよう。『しあわせの絵の具』は、その家で幸せに暮らした彼女と、彼女の創作活動を支え続けた夫エベレットの物語です。
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(c)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

こう書くとなんだかとても素晴らしくアートなカップルのように思えますが、ふたりはどちらかというと世間のはみ出し者です。モードは幼い頃から関節リウマチを患い、足が不自由。親類たちはそんな彼女を「生涯面倒を見なければいけない厄介もの」と決めつけ、押し付け合い、世間から隠さなければならない存在のように扱います。自分の可能性を前向きに信じる彼女は「自立しよう!」と動き始め、見つけたのが「家政婦募集」の張り紙。募集主は町はずれの小さな家(というよりは小屋!)に一人きりで住み、周囲からは「変わり者」とみなされている天涯孤独のぶっきらぼうな男エベレットです。後に彼女の夫となる人物です。
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(c)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

ラストシーンには誰もが二人の愛にグッとくるに違いないのですが、実は映画で一番面白いのはそうなってゆくまでの過程です。当初、人と寄り添ったことのないエベレットは、彼女に付け入る隙を与えまいと「俺が上でお前が下」という態度なのですが、「ここで生きていくしかない!」という決意のモードは、「手料理で胃袋をつかむ」という古典的な方法に始まり、「理不尽には毅然と怒る」「ふたりがいいコンビだと思わせる」「笑顔と優しさ」「さりげなく要求」「おだてる」「すっとぼける」などなど、緩急使い分けながら見事なまでにエベレットを懐柔してゆきます。
モードが画家としてささやかな成功をし始める頃には、気づけばエベレットが家事全般を引き受けてしまっている――なんてところもすごく可笑しい。でも夫が好きに描かせてくれたから、今の自分があることをモードは片時も忘れません。
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(c)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

モードの絵は大統領が買いに来るほどの成功を収めているのですが、それでも小さな小屋にふたりだけで住み続けたモードとエベレット。誰もうらやんでくれない、周囲とは同じではないけれど、二人が幸せならそれでいい――そんな形を見つけた二人の幸せに、結婚を意識するwith世代は何を感じるでしょうか?
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』
(c)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd

文/渥美志保
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