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17.Aug.2018

史上最悪に痛々しい「初夜」がぶち壊す、恋愛のファンタジー『追想』

史上最悪に痛々しい「初夜」がぶち壊す、恋愛のファンタジー『追想』

もはや死語になりつつありますが、とはいうものの「初夜」。結婚式当日、夫婦が初めてセックスする夜!という意味合い――つまり婚前交渉が当たり前でなかった時代の言葉です。
1962年イギリスが舞台の映画『追想』は、そんな時代の新婚初夜を描いた作品。カップルそれぞれの経験の浅さが、こういう状況において最も大切なタイミングや雰囲気を次々とぶっ壊す様には、何とも言えない痛々しさを感じずにはおれません。まあこの場合は、女性の方に個別の事情があるのですが、それはさておき。
映画は「初夜」の実況中継の合間に、そこに至るまでの「恋愛の過程」の回想をさしはさみながら進んでゆきます。

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音大を出たバイオリン奏者であるヒロイン、フローレンスは、お堅いお嬢様。一方、労働者階級出身のエドワードは、感情が言葉や行動に出やすい情熱家。
二人が結婚に至るまでのデートは、ボートで川を下りたどり着いた誰もいない草原でイチャイチャするとか、会いたさに10kmの道のりを歩いてやっと会えた時の喜びとか、鳥のさえずりに包まれながら森でするキスとか、そりゃもうロマンチックです。

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ところがこれと同時進行で描かれる「初夜」は、前面に出たエドワードの「ようやく」という気持ちが空回り、ここぞという時にルームサービスが来るわ、ドレスを脱がそうとしてファスナーが引っかかるわ、ままならずにエドワードが時々キレるわ、その生々しい展開にフローレンスは身を固くするばかり。本で学んでいた時点からセックスを恐怖していた彼女が、食い気味に来るエドワードに腰が引けてしまうのは当然ですが、挙句に出てきた結婚に関する「トンデモ提案」には、エドワードがかわいそうにも思えます。

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もちろん真に愛し合うカップルには「ロマンチック」も「生々しさ」も必要ですが、映画は恋愛における男女が夢見る妄想の違いを、浮き彫りにしているようにも思えます。ともあれ「初夜」が本当に「初夜」だった時代、昔の人はこういうのをどうやって解決していたのかなあ。

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『追想』
© British Broadcasting Corporation/ Number 9 Films (Chesil) Limited 2017

文/渥美志保
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