編集部|ライフスタイル
05.Nov.2017

社会学者 古市憲寿の人生相談 「貯金」ってどれだけ必要?

古市憲寿の人生相談

歯に衣を着せぬ物言いで話題の古市さんは、社会学者&ニュース番組にも出演する気鋭の論客。大好評につき、今回も迷えるwith読者と直接、対面! ズバッとアドバイスしてもらいます!

お金の悩み:
ニュースを見るにつけ将来が不安になる……。
「貯金」ってどれだけ必要?

医療費削減など、将来に関するニュースを見ると、自分が高齢になった時、どのぐらいの預金額がないといけないのか不安になってしまうんです……。   (公務員・Iさん・25歳)

未来を決めすぎても無意味だよ

古市(以下・古)心配性なの? 結婚も、安定したいからしたい感じ?

Iさん(以下・I) 真面目なんです(笑)。備えあれば憂いなしじゃないけど、将来設計はしたいタイプなんです。

 個人的には、貯蓄はあまりしなくていいと思ってるんだよね。例えば医療費の話でいうと、いちばんかかるのって終末期医療(※1)の時。逆に言えば、若いうちの医療費なんてたかが知れてる。日本は国民皆保険の国で、世界的に見ても医療費負担が少ないんだから、そこまで心配しなくていいと思う。




I でも、〝もしも?のことを考えると不安なんですよ。

 貯蓄をすること自体は止めないけど、それこそ〝もしも?インフレが起こって、通貨の価値が変わってしまったらどうする? 貯蓄は目減りしていく一方だよ。これからの時代、こうすれば安泰っていうのは基本的にないんじゃないかな。逆に、老後っていう概念を捨てて100歳まで生きると仮定し、手に職をつけたり、一生役立つようなスキルを身につけるほうが賢い選択かもしれない。

I 言われてみればそうですね。

 そもそも今から未来のことを心配しすぎてもしょうがないよ。だって何が起こるかわからないんだから。50年前の若者は、空飛ぶ車には憧れたかも知れないけど、スマホで世界中の情報が一瞬で入手できたりする未来を予測できなかったわけだよね。人間はついつい今の常識で未来を考えちゃう。だけど、医療技術もどんどん進歩して、これからは老いという概念が変わってくるかも知れない。Iさんに一番必要なのは「どんな時代になっても、何とかなるさ」って思える楽観的なマインドかもね。

※1終末期医療

重い病気の末期で不治と判断された時、治療だけでなく患者の心身の苦痛を和らげ、残された時間を穏やかに過ごせるようにする医療のこと。公的な定義はないが、予想される余命が3ヵ月以内程度の意味で表現されることが多い。


’85年東京都生まれ。社会学者。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)などで注目される。近著の『保育園義務教育化』(小学館)では、女性が置かれた理不尽な状況を描き、その解決策を示す。



イラスト/死後くん 撮影/Maciej Kucia(AVGVST) 取材・文/紺谷宏之 デザイン/attik
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