昨今、頻繁に耳にするようになってきた“気象病”。どんなときに起こりやすく、どんな対策を取るのが有効なのか? そこで気象病の専門家として知られるせたが内科・神経内科クリニックの久手堅司院長に取材。気象病のいろいろを4回に渡って詳しくお届けします。
気象病がもっとも出やすいという梅雨目前の今。第3回は、すでに出てしまった症状を軽減させるにはどうしたらいいのか、その対症療法を教えていただきました。
※(以下、「 」内、久手堅院長)
朝が起きられなくなる人はアイドリング強化を
「気圧が下がると血圧が下がり、副交感神経が優位になる。するとどうしても体は休めモードに入り、眠くなります。これがもともと血圧が高めの人ならそこまでの影響はないのですが、女性はもともと血圧低めの人が多い。気圧の影響でさらに血圧が下がると、めまいやだるさも悪化し朝が起きられなくなってしまうのです。
そういう方は前もって気圧予報をチェックして、働き方などを上手く調整することが大切。『このあたりは雨が続くからリモートワークにしよう』などと。そういう対策を取るだけで、ダメージは劇的に減ると思います」
とはいえ、どうしても休めない、スケジュール調整が難しい、という人のほうが多いことでしょう。そんなときはどうすればいいもの?
「症状が出たとき、あるいは出そうなときは、できればいつもより1、2時間早めに寝て、1、2時間早く起きることをオススメします。低気圧だとアイドリングが不調になってエンジンがかかりにくくなるので、いつもより早めにアイドリングを始める必要があるのです。
さらに、起きるときに血行を良くする運動を取り入れるとよりエンジンがかかりやすくなります。たとえば布団の中で手をグーパーしたり、何とか布団から出られる人は、軽いヨガやラジオ体操をするのもオススメです。患者さんの中には、思い切って早起きして散歩をするようにしたら症状が改善した、という人もいますよ。またカフェインは交感神経を優位にしてくれるので、コーヒーやエナジードリンクなどを飲むのも有効だと思います。
人間の身体の仕組みを考えると、雨の日に不調になるのは仕方のないことではあります。それでも自分の不調は気象病だと知ってちょっとした対策を取ることで、普通に近い生活は送れるようになるものです」

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