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「惣菜=手抜き」と自分を責めないで。“ちゃんと料理しなきゃ” 信仰がなくなる、毎日のごはん作りのやり過ごし方

暮らし
忙しい日々を過ごしていると、毎日自炊をするなんてそう簡単なことじゃない。しかし、結婚したり子供が生まれたりすると、独身の頃よりも「ちゃんと料理しなきゃ」信仰が強まる気がする。仕事も、家事も、子育てもすべて100点満点で! なんて正直無理な話である。

そんな毎日のごはん作りが憂うつな人にぜひ読んで欲しい一冊が『ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん 毎日のごはん作りがすーっと楽になる』(講談社)である。本書は“ぶたやまかあさん”ことやまもと しまさんが、フルタイム勤務と三人の子育てで忙しい日々のごはんを、「やり過ごし」ているうちに生まれた料理やアイデアをまとめた一冊。

「インスタントだしを堂々と使う」「献立は決めない」「“作り置き”をやらない」といった、料理へのハードルをぐっと下げてくれるような見出しが並び、読んでいるとタイトルにある通り、肩の荷が下りてくるのだ。

今回は著者のやまもとさんに3回にわたりインタビューを実施。vol.1では、本書で伝えたかったこと、そして料理に対する“ちゃんとしなきゃ”信仰の根強さについて伺った。

「できない」ことよりも「できている」ことを自分の中に見つけて

――毎日何かしらの料理をしていれば、お客さんに出すような特別な料理がつくれなくても、料理上手ってことでいいじゃない。という文章に、すごく勇気づけられました。その「何かしらの料理」も「火を通す」「切って並べる」だけでいいんだ、というのも。

やまもとしま さん(以下、やまもと) “お母さん”という属性の方とお話しする機会が多いんですけど、みなさん判を押したように「あんまり料理が得意じゃなくて……」とおっしゃるんです。でも、よくよく聞いてみると毎日とてもよくやられているし、実際、ご相伴に預かった方のごはんは、とってもおいしかったんです。料理が上手ですとか得意ですとか声高に言いきっちゃうと、たしかにちょっと盛ってるような気がしてしまうかもしれないんだけれど、そんなに「できない」とか「苦手」とか言わなくていいんじゃないかな? と思ったんですよね。「毎日料理してる! つまりは料理上手!」って思うことが、自分で自分を認めて褒めてあげるひとつのステップになるんじゃないのかな、と。

――タイトルは『ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん』ですけど、レシピブックというより、発想の転換をくれるエッセイ集のような読み心地でした。

やまもと だってレシピを作るのは苦手なので(笑)。〈名もなきレシピも立派な料理〉と書きましたように、正直言って私のつくるごはんにレシピなんてあってないようなもの。手持ちの食材をそのときの思いつきでつくっているだけなんです。まあ、その思いつきが積み重なっていくと、なんとなくひとつの形になったりはするんですけど、もともとプロの料理人というわけではないし、出版社からお声がけいただいたときも、レシピブックは無理ですよ、できませんよ、というお話を最初からさせていただきました。あくまで私の個人的な体験に基づいて「こうするといいんじゃないかな?」ということをお話しているだけですね。
 
――肩書も“やり過ごしごはん研究家”ですもんね。

やまもと そうなんです。家でつくるごはんってけっこう「ありもので適当に調理していたらめちゃくちゃおいしいのができちゃったな!?」ということあるじゃないですか。それは、味の要となる旨味と塩気、辛み・すっぱさ・甘さとのバランスがうまくとれているからだと思うんです。偶然できあがることもあるけれど、実はそれなりに法則があって、把握しておくだけで失敗が少なくなる。私は多分、そのバランスを見極めるのがわりと得意だから、それなりに毎回おいしいものがつくれるし、こうして本を出させていただけたのかなあ、なんて思います。

――そのバランスは、やっぱり場数を踏まないと身につかないですよね。

やまもと どうなんでしょうね。私、この本を書くにあたって、料理に対するハードルを下げたい思いはあったけれど、「みんなも料理しようよ!」とは言いたくなかったんですよね。自炊するに越したことはないけれど、そう簡単にできないから困ってるんだよ、って人がほとんどでしょうし、人って、ちょっとやる気になったくらいでは性格もスタイルも変えられない。だけどもし、週に何度か何かを炒めたり包丁を使ったりしているのであれば十分料理しているということだし、「できない」ことよりも「できている」ことを自分のなかに見つけてそれでよしとしませんか、という気持ちで書きました。

――「これくらいで大丈夫なんだ」って思えたのが、たしかにこの本を読んでいちばん嬉しかったことでした。よそさまの食卓って、招かれたときにしろ、SNSにしろ、めちゃくちゃちゃんとしたものしか見る機会がないので。

やまもと 自分だけがちゃんとできてないような気持ちになっちゃいますよね。キレイな写真ばかりが溢れているFacebookやインスタグラムに若干敵意というか反発があって(笑)。Twitterではもうほんと、あるがままを載せるようにしているんです。名もなきレシピだったとして、家族だけでなく友達やよそのお母さんたちがおいしいって食べてくれるんだから、それでいい。十分表に出せるものだよ、と私は思っている。その姿を発信し続けることで、誰かを勇気づけようとまでは思いませんが、何かしらの意味はあるんじゃないかな、と。
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