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「普通」の形も変わっているからこそ。私が“女”について書き続けたい理由【ひらりささんインタビューvol.3】

「推し」「沼」――。ここ最近、そんな言葉がよく聞かれるようになり、雑誌やテレビなどでも取り上げられるようになった。推しがいてくれることでしんどい仕事もがんばれる! 推しに救われている! という人もたくさんいるだろう。でも、ちょっとはずれてしまうと、普通に生きていたはずなのにいつのまにか沼に“溺れていた”なんてこともあるのだ。『沼で溺れてみたけれど』(講談社)は、そんな沼に溺れてしまった15人の女性に話を聞いたエッセイ集。文筆家で、女性4人によるユニット「劇団雌猫」メンバーでもあるひらりささんが、彼女たちの“お金”と“欲望”に迫っている。

本書に登場する女性の沼は人それぞれであり、かつどれもインパクトが大きい。不倫相手のために5700万円のタワマンを買った女性や、手取り180万円だけど推しに救われていた女性、スピリチュアルにハマって1000万円使った女性……。「自分はそんなことにならない」とどこか他人事のように思ってしまうかもしれないが、しかし登場する彼女たちも“普通に生きていた”のである。もしかしたら、自分だって“沼に溺れる”かもしれないのだ――。

今回、著者であるひらりささんにインタビューを実施。全3回にわたりお届けする。最終回はひらりささん自身のことについて。会社をやめて海外留学するひらりささん。そう決意するまで、そしてこれからも“女”について書き続けたいと語る理由とは。

自分の人生に向き合わないと、と思わされた

――Case07のマホさん(40歳)も印象的でした。“やりたいこと”を探し続けて、ときに都民税を払えなくなりながらも8回転職をくりかえし、今なお新しい道を模索し続けている。

ひらりささん(以下、ひらりさ) ご本人は、ギャンブルはやらないけど、ギャンブル依存症的な性格かもしれない、ギリギリ感のある何かに常に挑戦してないと気が済まない、とおっしゃっていました。ですが、時代の波に翻弄されながらたくましく前進し続ける彼女の姿には励まされますし、〈自分の畑にどんどん生えてくる雑草をそのままにするのと、それでも刈ろうと頑張るのとでは、自分の人生という畑の主導権が変わるような気がします〉という言葉が響きました。私自身、なにを自分の天職にしたいのか、今もすごく悩んでいるので。

――ひらりささんも、勤められていた会社をやめて海外留学されるんですよね。

ひらりさ はい。まずは自分の人生に向き合わないとなあ、って。この本でインタビューしたみなさんが、沼に溺れた経験を反省しつつも今に引きずっていないのは、一回、ちゃんと自分の人生に向き合ったからだと思うんです。「沼に溺れる経験も、自分の人生には必要なことだったかもしれない」と振り返るには、私はまだまだ向き合い方が足りていなくて。

――Case15では、投資オタクに惚れて、投資にハマり、150万円の損失をだしたというひらりささんの実体験を書いていましたが、それもまだ、冷静には振り返れない?

ひらりさ いまだに時間を巻き戻したいって思いますね……(笑)。

――150万円は大金ですしね……。

ひらりさ 本当に血の気がひきましたね。ただ、クレジットカードの請求がくるのと違って、パソコンの画面上でしか確認できない数字だから、リアリティを感じるまで時間がかかってしまった。作中では省略していますけど、実は二、三度「そこで引き返しておけよ」というタイミングがあって。同じ失敗を何度かくりかえして、最後に150万円の損失に陥ってしまったのは、自分のことを自分でちゃんと把握できていないからだろうな、と思います。
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