そして、付き合う人にはある程度、「食べることが好き」であることを求めてしまう。
おいしいお店をたくさん知らない男なんて論外……とまでは言わないが、例えば私が行きたいと思う店に、興味を持って一緒に行ってくれる人がいい。
以前、フレンチ(というかイノベーティブとかフュージョン)が大嫌いな男と付き合っていた時に、それを痛感した。
デートで行くのは寿司か焼き肉。もちろん寿司も焼き肉も好きだが、たまにはフレンチなども食べたい。例えば誕生日とかクリスマスくらいは……。
しかし、「よく分からない食べ物がいっぱい出てきてダルい」という理由で彼は一度もフレンチに行かず、私はこいつと結婚したら一生、夫とフレンチには行けないのか、じゃあ誰と行けばいいのか、友達、両親……。友達とは疎遠になってしまい、両親が死んだらどうしたらいいのだろう。一人で行ってもいいが、たまには「おいしいね」と言いながら人と食事をしたい……。
このように思いつめ、発狂寸前になった私はそいつと別れるに至ったのである。