恋愛・人間関係
武田砂鉄「どうしていつまでもこうなのか」

武田砂鉄【あの発言から考える】意味を理解せずに「#(ハッシュタグ)」を使う人たち

連載第5回【武田砂鉄 どうしていつまでもこうなのか】〜あの発言から考える〜

『with』 の連載「結婚神話解体工事」にて、今の時代の結婚をとりまく状況を考察して、私たちに新しい気づきを投げかけてくれた武田砂鉄さんによる、結婚とは? 夫婦とは? ということと共に、そもそも私たちが生きやすい社会って? ということを考える連載【どうしていつまでもこうなのか】の5回目です!

今回のテーマは、【意味を理解せずにハッシュタグを使う人たち】。これまでは常識だとして“スルー”していたさまざまな問題を、私たち自身の将来のため、そしてこのあとの世代のために、ちょっと考えてみませんか?
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意味を理解せずにハッシュタグを使う人たち

9月27日、安倍晋三元首相の国葬が行われたが、その弔辞の中で、岸田文雄首相が「あなたは若い人々を、とりわけ女性を励ましました」と述べた。聞きながら、「いや、そんなことはないでしょう」と頭の中で即座に返した。励まそうとしなかった事例がいくつも浮かんだ。そのうちのひとつが、「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名ブログへの対応だった。

2016年、待機児童の多さが問題視されているなかで、匿名で書かれたブログが話題になった。「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」などと綴った強い憤りに賛同した人たちが、SNSに次々と思いの丈を書き込んだ。

「活躍出来ねーじゃねーか」とあるのは、安倍政権が打ち出していた「女性活躍社会」に対する皮肉でもあったわけだが、このブログが国会で取り上げられると、安倍元首相は、「匿名である以上、実際本当に起こっているか、確認しようがない」と牽制した。そもそも、女性を「励ます」という言葉選びからして、女性を対等な存在として見ていない印象だが、このように、決して励ましてはいなかったのだ。
このところ、ハッシュタグ・アクティヴィズムという言葉が知られるようになってきた。「#MeToo」「#BlackLivesMatter」のように、SNS上で同じハッシュタグを使って連帯を示し、社会変革を促したり、悪しき慣習を告発したりする動きが起きている。あまりにも乱発される様子を茶化したり、効果を疑ったりする向きもあるが、自分の考えを表明する手段が増え、声をあげにくかった人たちが連帯しやすくなるのだから、その動きを止めるべきではない。
ただ、問題なのは、そのハッシュタグがどういう意味・狙いで使われているのかを理解せず、「なんか流行っているらしいから乗っかってみよう」と参加するケースが相次いでいること。こうなると、せっかくの意見表明や連帯の意義が霞んでしまう。
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