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編集部|子ども

中学受験「不合格より怖いこと」とは一体何なのか?

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中学受験勉強の約3年間を、小説『指輪物語』(映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作)や小説『はてしない物語』(映画『ネバーエンディング・ストーリー』の原作)のような、大冒険の物語だととらえるといい。映画の登場人物が数々の試練を乗り越えながら成長していくように、中学受験生とその家族も、数々の試練を乗り越えながら成長する。

テレビゲームの中でバーチャルな冒険をするのとはわけが違う。よほどやり方を間違えない限り命を奪われる危険こそないけれど、現代社会においては数少ない、リアルにスリリングな冒険である。だから中学受験は、小説や漫画の題材にもなりやすい。

子どもにとっては文字通り果てしなく感じられる壮大な行程を、目的が本当に達成できるのかもわからない不安の中で、それでも一歩一歩着実に進まなければならない苦難の旅だ。

どこに落とし穴があるかもわからない。怪物が現れ、回り道を余儀なくされるかもしれない。そのたびに感情が揺さぶられる。本当の恐怖も感じる。中学受験をしていると、誰もがそういう状況を必ず経験する。必ず、だ。

でも、最初からそういうものだととらえて中学受験を始めれば、スランプが来たって、宿題の答えを写していることが発覚したって、志望校選びで親子の意見がわかれたって、「この状況、どうやって乗り越えたら自分たちらしい物語の一ページになるか?」と考えられる。

不測の事態や不本意な状況に際したとき、それをどう意味づけし、どうやって成長の糧にすべきかを示すのが親の腕の見せどころだ。それはそのまま人生を生き抜くための指針にもなる。
 

受験テクニック本よりも受験小説を読むべき

自分たちが取り組む中学受験という大冒険の本質を知るためには、受験テクニック本をむよりも、中学受験漫画や中学受験小説を読んだほうがいい。
中学受験をテーマにした小説『翼の翼』(朝比奈あすか、光文社)の終盤には、「偏差値表の学校名や数字が、初めてどこかに溶けてゆく気がした」という象徴的なくだりがある。『ロード・オブ・ザ・リング』で人々を惑わし世界を狂わせたあの指輪が「滅びの山」の火口で溶けていくシーンに重なる。

私が提唱する「中学受験必笑法(仮に第一志望校に合格できなかったとしてもすべてが終わったときに家族で笑っていられるとしたらそれはどんなときかを考えて中学受験に取り組む姿勢)」的に言えば、あの瞬間、”笑利”すなわち成功が確定するのだ。その瞬間がいつやってくるのかが、これらの物語を読むと疑似体験できる。そこへ向かって中学受験の日々をすごすことができるようになる。

生まれて初めての本気の大冒険を、子どもは何年経っても忘れない。そのとき感じた恐怖、悲しみ、悔しさ、喜び、そしていつもそばにいてくれた母親や父親の存在感の大きさを、映画の回想シーンのように思い出すことができる。

一方でたとえば、反抗期に受験勉強もしなければならない負荷の中でこそ精神的に成長できると考えるのなら、むしろ中高一貫校に行くべきではない。小学生のうちに鍛えるべき非認知能力は習い事を通して鍛えるというのなら、塾に通って中学受験勉強をする必要性も少ない。親自身が人生をかけた挑戦をしていて、その背中を見て子どもも育っているというのなら、わざわざ親子の冒険を始めなくてもいい。

しかしもし、21世紀・日本のコンクリートジャングルで、子どもと本気の大冒険を経験したいと思うなら、中学受験という機会を利用してみるのも一案ではないだろうか。
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