内面は“見た目”にあらわれる
20代の女性ももちろんかわいらしいけれど、30代はその人の生き方が明確になって、人として一つの完成形に辿りつく、いわば人生の盛りとも呼べる時期。私自身、振り返ってみても、一番楽しかったと思いますね。もちろん40代には40代の美しさと楽しさがありますけれど。ただ、30代で花を咲かせるためには、20代をどう過ごすかが重要。生き方が明確になるということは、人によって差がものすごくついてしまうということでもありますから。上辺はとりつくろうことができても、内面の意識はその人の雰囲気に醸し出されてしまうもの。たとえば言葉づかいひとつ、手紙の書き方ひとつとってもね。20代は失敗しても笑って許してもらえるけれど、30代では失笑されて終わりですから。
桂一さんは、一目会ったときから博子さんに心をつかまれ、7年間忘れられずにいた。そして再会したときには、博子さんのほうも桂一さんに惹かれたわけですが、これについて「見た目だけで恋をするのが純愛なんて」という感想をいただいたことがあるんです。見た目が、単純な美醜のことを指していると思ったら、大間違い! とくに30歳を超えたあたりから、内面性は如実に人相にあらわれます。笑い方、視線や指先の動かし方、他人に接するときの態度や、声のトーン……すべてをひっくるめて“見た目”なんですよ。
――確かに、どんなに顔の造形が整っていても、なんだかいやな感じがする人っていますもんね……。
造形が整っていなくても、美しいな、きれいだな、と思える人もね。だから、人を惹きつけられるような人間になるための基礎づくりを、20代ではしておかなきゃいけないなと思います。

with編集部
この著者の全ての記事を読むSHARE