『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『MIU404』など、話題作を連発し続けている脚本家・野木亜紀子さん。最新作の映画『罪の声』も、リピート鑑賞確定の予感。脚本を手掛けた野木さんに、引き受けることになった経緯や手応えなどについて語ってもらいました。
原作小説を読んで、脚本を引き受けたことを後悔!?

――『罪の声』は同名のベストセラー小説を原作とする映画です。まずは脚本を引き受けることになった経緯について教えてください。
野木亜紀子さん(以下、野木)「『重版出来!』や『逃げるは恥だが役に立つ』でもお世話になったプロデューサーの那須田淳さんに、最初は飲みの席で『罪の声』の話を聞かされたんですよ。メインキャストが小栗旬さんと星野源さんで、監督は土井(裕泰)さんだと。その時点で惹かれる作品だなと思いましたが、物語のさわりを聞いたらものすごく面白くて、前のめりに話を聞いていたら、いつの間にか私が脚本を担当することに(笑)。那須田さんは、いつも私にスルッと仕事を渡すのが上手なんです」
――原作小説は実際に起きた事件をモデルにしています。犯人の卑劣な手口が日本中を震撼させましたが、野木さんも事件の記憶は残っていますか?
野木「すごく覚えていますね。あの事件が起きて、スーパーからお菓子が消えたんですよ。その後は異物を混入出来ないようにお菓子がフィルム包装になったり、一度開封した証拠が残るようなシールが使われるようになったりして。子どもながらに、『大事件が起きているぞ』と。そこまで世間を騒がせた事件をベースにした映画を作る機会はめったにないですし、やってみようと。が、小説を読んで、引き受けたことを後悔したんですよ」
――え、後悔!? なぜですか?
野木「まず事件に利用された“子どもの声”に焦点を当てるアイデアがすごいですし、何十年も埋もれていた“声”に光を当てるのは意義深いことだと思いました。ただ、原作に盛り込まれている綿密な取材に基づいた大量の情報や、登場人物がこれでもかと出てくる物語を、映画の尺に収めるのは相当ハードルが高いなと。実際、脚本のベースを決める段階から苦行の日々でした(笑)。12時間も打ち合わせしたにもかかわらず、何も決まらない日もあって。事件関連の事実として判明していることを曲げずに、一本の映画として成立させるという作業に時間がかかりましたね」
野木亜紀子さん(以下、野木)「『重版出来!』や『逃げるは恥だが役に立つ』でもお世話になったプロデューサーの那須田淳さんに、最初は飲みの席で『罪の声』の話を聞かされたんですよ。メインキャストが小栗旬さんと星野源さんで、監督は土井(裕泰)さんだと。その時点で惹かれる作品だなと思いましたが、物語のさわりを聞いたらものすごく面白くて、前のめりに話を聞いていたら、いつの間にか私が脚本を担当することに(笑)。那須田さんは、いつも私にスルッと仕事を渡すのが上手なんです」
――原作小説は実際に起きた事件をモデルにしています。犯人の卑劣な手口が日本中を震撼させましたが、野木さんも事件の記憶は残っていますか?
野木「すごく覚えていますね。あの事件が起きて、スーパーからお菓子が消えたんですよ。その後は異物を混入出来ないようにお菓子がフィルム包装になったり、一度開封した証拠が残るようなシールが使われるようになったりして。子どもながらに、『大事件が起きているぞ』と。そこまで世間を騒がせた事件をベースにした映画を作る機会はめったにないですし、やってみようと。が、小説を読んで、引き受けたことを後悔したんですよ」
――え、後悔!? なぜですか?
野木「まず事件に利用された“子どもの声”に焦点を当てるアイデアがすごいですし、何十年も埋もれていた“声”に光を当てるのは意義深いことだと思いました。ただ、原作に盛り込まれている綿密な取材に基づいた大量の情報や、登場人物がこれでもかと出てくる物語を、映画の尺に収めるのは相当ハードルが高いなと。実際、脚本のベースを決める段階から苦行の日々でした(笑)。12時間も打ち合わせしたにもかかわらず、何も決まらない日もあって。事件関連の事実として判明していることを曲げずに、一本の映画として成立させるという作業に時間がかかりましたね」