第一回は、夢を叶えるための「甘え方」について。
ラジオで初めて自分の“本音”を話した
バービーさん(以下、バービー):ありがとうございます。
――エッセイ集は、どういった経緯で出されることになったのですか?
バービー:さかのぼると、以前武田砂鉄さんがパーソナリティをつとめるTBSラジオに出演したことがきっかけですね。武田さんが、テレビでチラッと映った私の本棚を見て、予想外に色んな本を読んでいるということに興味を示してくださって、それでラジオに呼んでくださったんです。相手が「真剣な話をしよう」としているのはわかっているし、それを笑ってはぐらかすのも違うなと思って、珍しくテレビでは話さないような自分の本音を話しました。
そうしたら、それ以来雑誌のインタビューなどが一気に増えたんですよね。そして、FRaU webさんから「自分の言葉で書いてみませんか」とお話をいただけて。そこで好きなように書き続けたものが、今回一冊の本としてまとまりました。
――ラジオは私も拝聴していましたが、たしかに普段のバービーさんとはまったく違うトーンのお話で驚きました。さまざまな問題を真剣に考えられているんだ、と。普段プライベートでこういうお話はされるんですか?
バービー:いや、まったくしないですね。この間も森三中の黒沢さんとご飯を食べに行ったんですけど『あなたって本当に自分のこと何も喋らないよね』って言われて。私は普段自分の話を聞いてもらっているつもりだったんですけど、それって「私の周りで起きたこと」であって、「私が普段考えていること」ではなかったんですよね。本当に限られたマブダチのような存在には漏らしたことはあるかもしれないけど、なかなか公では言わないようなことを書いたつもりです。
甘え上手なのは、相手も「得」をすると知っているから

バービー:もちろん、ベースとしては芸能活動をしていることのメリットがあります。知名度があるからこそ、話が通りやすい部分は当然ありますから。ただ、それとはまた別に、私は考えるより先に行動してしまう性格というのは大きいかもしれないですね。知識で理論武装していくというよりは、先に行動をして人に直接聞いてしまう。
それが結果的にみんなに助けてもらえる理由かなと思っています。本当に全体重で甘えるんですよ。『私はわかりません、できません、でもこうしたい』という熱だけ伝える。そうすると、こんな一人で歩けないようなやつを野放しにして大丈夫か、と周りの人が手を差し伸べてくれる……その繰り返しですね。
――バービーさんは甘え上手な方なんですね。
バービー:めちゃくちゃ甘えると思います。
――現代では、甘えるのが下手な人の方が多いと思います。下着を作りたい、文章を書きたい、と思っても、恥をかくのがいやで周りに言えなかったり、一歩を踏み出せなかったり……。
バービー:なんだろう、私は末っ子だからかな(笑)。昔から周りの大人がちやほやしてくれていたというのもあるし、子供心ながらに「向こうも向こうで旨味をもって私を可愛がってくれているな」というのは感じていて。会話に途切れたからとりあえず可愛いって言っておこう、とか、嫁姑の潤滑油にされているな、とか。そういうのを子供の頃からわかっていたからこそ、甘えながらも潤滑油なりの行動をするように心がけていました。
――中身はずいぶんと大人びていますね……。
バービー:だから「甘える」って別に一方的な行為じゃないって分かっていたんですよね。相手は相手で、救ってあげたぞ感を味わうことができる。私も助けてくれたらお礼をするわけだから、迷惑をかけたとも思わない。向こうも気持ちよくなってっほしいから、ウィンウィンになるような甘え方はしているかも。でもそうやって甘える分には私も相手も嬉しいし、いいことづくめなんですよね。
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次回は、バービーさんの「芸人論」について伺っていきます。