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神崎恵「もう、メイク落としていいですか?」

【神崎恵連載】vol.8「捨てなくっていいよね、美容」【もう、メイクを落としてもいいですか?】

vol.8「捨てなくっていいよね、美容」

捨てなくっていいよ。

最近、わたしの中で、「捨てなくていいよね」ブームが沸き起こっている。

思ってみれば、ここ数年、「捨てる○○」的なフレーズばかりを目にしてきたように思う。

メイクにしても、チークなんていらないよね、まつげのカールもいらないし、アイカラーだって何色も使ったグラデなんていらない、いらない。服だって、生活だって、極力さらっとシンプルに。それでこそ、おしゃれでしょ。

そんな具合に。「大人になったんだから、ごてごて盛り立てず、シンプルでいてこそ美しい!」だから、あなたもいらないものは捨てなさい!

そんな調教を全身で受けてきたように思う。

「え、でもチークなかったら顔色悪く見えない?」「まつげカールしたほうが目がぱちっとするよね?」そんな思いと、捨てる難しさというプレッシャーを感じながらも、先生たちが言うなら、そうなんだろう。それが正解なんだろう、と言い聞かせ、ひたすら捨てる方法を学び、どうした
ら捨てられるものなのかと試行錯誤してきた。他人事のように話しているわたしもそう。「捨てようよ!」と声をあげていたひとり。

確かに、余分なものを捨ててこそ、そのもの本来の美しさが姿を現すことがある。

いらないデコレーションを取り除いてこそ、素材や個人が活かされ、存在自体が際立つ。

でも。捨てろ捨てろと断捨離を数年しつづけて、今思うのは、やっぱり「盛ることの楽しさやときめきってあるよね」ってこと。

例えばメイクなら、まつげをくるんとカールして、見違えるように長くなるマスカラをびっしり塗るとか。ファンデーションだって、数種類塗りかさねてつるんと透明感たっぷりの肌をつくるとか。思い切り長くはね上げたアイラインだって、素直に女心がときめくもんだ。そう、必要以上のものにはいつだってときめきがつまってる。

捨てることばかりを数えて身軽になるのもいいけれど、ときめきを足して足して女心が満たされることって、女の人生にはやっぱり大切なんじゃないかと思うのだ。
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