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神崎恵「もう、メイク落としていいですか?」

神崎恵「今年は、『趣味、わたし』『推し、自分』でいきたい」【もう、メイクを落としてもいいですか? vol.32】

美容家・神崎恵さんによる連載「もう、メイクを落としてもいいですか?」。第32回目は「SNSは最後のページに」という題でお届けします。

vol.35「お腹いっぱい」

心地よさって、ひとそれぞれ違うものだな。生きているとさまざまなタイミングで、そんなことを思います。

気持ちいいなと感じる香り、肌触りや音楽、温度やひととの距離感。全てに近いいろいろなものに一人ひとりのさじ加減があります。皆が一列に揃わないこのばらつき。この世の中の彩りは、こうした「違い」が作っているのだなと面白さを感じます。

それと少し似ているのだけど、「さじ加減」というくくりで、常に私の頭の中に浮かぶのが、「今どれぐらいのお腹加減だろう?」。

毎日の食事はもちろん、仕事でもなんでも、目の前にいる人のお腹が気になって仕方ない。減っていないか? 満たされているか? おかわりはどうだろう? その人の表情や言葉からにじむニュアンスを読み解きながら、追加したり、そっと引きあげたりする。
先日、ずっとお会いしたかったコラムニストの方と対談をさせていただく機会がありました。「置いてっちゃえばいいんですよ!」この対談の中で、私を突き抜いた言葉。ああ、気持ちいいな。私の中にはまだないこの潔い言葉が、この日からずっと頭の中のいい位置でポップアップし続けているんです。

この対談の大テーマは「おばちゃん」。ざっくりいうと、おばちゃんはおばちゃんで最高だよねっ、という話。その中で、「おばちゃんの何が最高かっていったら、誰の機嫌も取らなくていい、ってことですよ」と、その方が軽やかに言い放つわけです。これがね、もう心底清々しくて。わからないひと、槍を投げつけてくるひと、そんなひとたちのことは気にせず、とにかく置いていけばいいと。そうそう、本当、そうなんだよな。誰もが簡単に、無責任な言葉まで投げかけることができる時代。だから、時に聞かない、拾わない、そんな選択が大切になってくる。自分や自分の楽しみを守るために、必要ないことはしなくていい。わかってはいても、なかなかそれができない自分に、この方のこの言葉がまるで鍼灸治療の鍼みたいに鋭く、トントンと神経をついてくる。

置いていく代わりに私がしていることと言ったら、「お腹いっぱいにして帰すこと」。とにかく、いつだって、誰にだって、お腹いっっっぱいになって帰ってもらいたい(笑)。足りないなんてもってのほかで、もっと食べてほしい、もうちょっとだけ食べてほしい。足りないことのないように、なんだったらちょっと残るくらい満腹にして、お土産も持たせて帰したいと思ってしまう。
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