今の若者の恋愛との冷静な距離。
先日も、あるプレ花嫁応援雑誌の編集者から、興味深い数字を聞いた。「今の20代、アラサー世代は7割、彼女・彼氏がいないんですよ。だから結婚したかったら相手はアプリで探すんです」
それはそれで合理的でいいのかもしれない。思う人生に近い生き方ができる確率が上がるのかもしれない。でも昭和を生きたわたしにとっては時には「恋愛」に支配されるくらい、頭の追いつかない恋愛もしてほしい!と思ってしまう。
似た数字は、ここ数年ずっと耳にしてきた。そのたびに、結構な衝撃を受けつづけている。恋というものは、本能にどっぷりと支配されているんだと思っていた。気力や体力、こっちのコンディションや人生計画なんて関係なく突然現れたり、襲ってくるものだと思っていた。だからこそ、「どこにいった? 恋心」と思ってしまう。
恋愛映画や、友人の恋模様をみて、ふと自分の恋心の生存確認をしてみ たりする。
恋をするしない、ではなく、恋への興味を持てているかどうか。夢見たり、焦がれたりができているかということだ。まだ始まっていない恋を思いながら美容に精を出したり、返信を待ち焦がれて一日何百回も携帯を覗いてみたり、なんでもない一言でこの世の終わりかくらいに落ちたり、頑張れたり。
バカみたい、と思ってしまうような、そんな思いが、もしかしたら女の彩りに大事なんじゃない? と今更ながらに思ったりしている。
先に書いた友人たちが続けた言葉。
「ゴールとか関係なく、あの恋でしかできない支離滅裂な感情をもう一度味わってみたくて」。その余裕とピュアさ。なんだよあんたたち、なんかものすごく可愛いんだけど、と思ってしまった。
頭ではなく心で恋に落ちてほしい。なんだか急にそんなことを思っている。恋愛が面倒でも、どこかでちょっと恋焦がれるような乙女心を生かしてほしいし、前向きに浮ついたりしてほしいなと思うのだ。そういうわたしは、これからもそんな浮つきを恋愛ドラマで摂取していきたい。これからもずっと。だって、恋って素晴らしい〜。

美容家 神崎恵/かんざきめぐみ

日本のみならず、海外からも注目を集める売れっ子美容家。美容だけでなく、ファッションやライフスタイルも人気で、インスタ等で紹介したアイテムが品切れなるなどの現象も! 『この世でいちばん美しいのはだれ?』など著書多数。
次回の連載もお楽しみに!
文/神崎恵 illustration/Masami Ushikubo
●再構成with online編集部