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神崎恵「もう、メイク落としていいですか?」

神崎恵「苦さと甘さ」【もう、メイクを落としてもいいですか? vol.17】

vol.17「苦さと甘さ」

最近、友人がこんなことをポツリと言いだした。「ふと、昔の彼のこと、思いだしたんですよ。そしたら、今のわたし幸せだなーって思って。あんなに別れたときは辛かったのに、別れて大正解だったと心底思って」と。

ある友人も、こんなことを言ってきた。「なんか、SNSに前の旦那が出てきて。もう10年以上前のことだから、今どんな感じなんだろうと見てみたら、なんか、歳の取り方が哀れで。わたしといたら、きっといい歳の取り方ができていただろうにと思ったら、当時の憎しみも薄れちゃった。別れて正解だったし、今のわたしは幸せだなと思っちゃった」と。

時間というものは確かに癒やしをくれる。その最中は見えない、いろいろなことを冷静に見せてくれるのも、時間の素晴らしさだ。
こんなことを思うときがある。「正しいものは救われる。正しいひとはきっと幸せになれるでしょう?」と。このときばかりは天のだれかに問うてみたりする。

例えば、仕事やプライベートで、ずるいひと、悪なひとが得をしたり、思い通りにことをすすめていると、そんなつぶやきが浮かんできては、「そうでしょ?」と頑張っている自分に言い聞かせてあげたりしている。正直ものはバカをみる。ちらちらとよぎるこの言葉が、どうか嘘であるようにと願いながら。

わたしも、前述した友人たちと同じような感情になることがある。数年前、数十年前の苦い思いや時間をふと振り返り、自分の選択は間違っていなかったと確信できること。あの苦さがあったから、今こうしていることができるんだと、きれいごとではなくそう思うことがある。

生きているといろんなことがある。大きさは違えど、当たり前のように、山や谷がやってきて、忙(せわ)しない。失恋をすれば、「もうこんなにひとを好きになれることなんてない」と絶望したり、離婚すれば「わたしはなんて失敗をしたんだろう」と自分を責めたくなる。

でも、大抵のことは正解だ。そのときどんなに責めようと、後悔しようと、時間がたってみればその選択が正しかったと確信できる。あの苦味があったからこそ、今こうしていることができると思うものだ。
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