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神崎恵「もう、メイク落としていいですか?」

神崎恵「『次もわたしがいい』と思うわたしは、幸せに生きれている」【もう、メイクを落としてもいいですか? vol.38】

美容家・神崎恵さんによる連載「もう、メイクを落としてもいいですか?」。第38回目は「もう一度、わたしになりたい」という題でお届けします。

vol.38「もう一度、わたしになりたい」

何度も見る夢はありますか? わたしはいくつかあって、幼い頃は、万華鏡の中にいる夢で、動きつづける柄の中に取り残されるという恐ろしいもの。これを見ると必ず寝ぼけて親に心配をかけてしまうから、どうにか出てこないでくれと幼いながらに願ったものです。大人になってからは、その時々のストレスに応じて。〝誰かに追いかけられるけれどなかなか走れなくて恐怖〟編。〝空を飛んでいるけれど前に進めない〟編。〝歯がボロボロ溶けて抜け落ちる〟編。〝高層ビルが倒れる〟編。〝テストなのに何も勉強できていなくて焦る〟編。ざっと書き出すと、こんな夢を数回、いや数十回、いやいや数えたことはないけれど、もっと見てきたかもしれない。

夢ってなんでか、楽しくてワクワクするものは目が覚めた途端に消え去るもので、思い出そうとしてもうっすらとした余韻が数秒残るだけ。なのに、恐ろしい夢に限っては、しっかりと濃厚に記憶に染み残るから、薄暗い気持ちが数時間続くという後味の悪さ。

あとは、何度も見るわけではないけれど、説明するのも怖くなるような夢も見ることがあります。その中の一つは、今わたしが現実と思って生きている時間が実は夢だったというもの。夢の中で目が覚めると、息子たちがいないんです。今までの息子たちとの時間が全て夢なの。もう号泣するわけです、夢の中で。で、泣きながら目が覚める、今度は本当に。隣にいる息子たちを見て、「よかった」とまた泣けてくるという。本当に、思い出すだけでも苦しくなる。
何度も観ている映画『天使のくれた時間』は、見るたびにこの夢を思い出すんです。「素晴らしき哉、人生!」をモチーフにした作品で、「もし、あの時、違う選択をしていたら?」という誰もが一度は想像するこのテーマを描いた映画。成功し、優雅な生活を謳歌している主人公が、あることをきっかけにもう一つの人生を体験し、本当の幸せに気づくというストーリー。これを観ると浮かぶのが、「もし、時間が戻って、数十年前からやり直せるとしたらどうする?」、という問い。今まで、大なり小なり、色々な経験をしてきて。今思えば、できれば経験したくなかったこともあるわけで。この映画の主人公みたいに、今までの記憶も持ちながら時間を戻すことができたら、さあどうする?って。

なんですけどね、面白いもので、もう経験したくないってこともたくさんあったのに、やっぱり同じ道を選ぶだろうな、選びたいな、って思うんです。経験した中の何かが一つでも欠けたり、違う選択をしていたら、今の自分はいないし、何より息子たちと会えなかったかもしれないと思うと。同じ選択をし続けるだろうなと。
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