ピープル
神崎恵「もう、メイク落としていいですか?」
13.Sep.2019

【神崎恵連載】vol.7「美容ってめんどくさい」【もう、メイクを落としてもいいですか?】

vol.7「美容ってめんどくさい」

「メイクや美容が面倒くさくなるときってないですか?」「どうやって美容のモチベーションを保っ
ていますか?」「美容をサボりたくなる自分は女として失格でしょうか?」

***

そんな質問を受けることが多くある。「美容家」という仕事をしていると、人生においてなにより美容を愛していて、毎日寝ても覚めても美容が楽しい、メイクが楽しい。それが当たり前だと思われているらしい。

でも、正直、わたしもメイクが面倒くさい日がある。美容を見ないふりしたくなる日だって大いにある。

そんな日は特別なものではなく、寝不足の日や、心配事や悩みが深い日、なんとなく気分が冴えない日だったり、肌の調子がいまいちな日や、時間に追われている日だったりと、日常の中に普通に訪れる。そして決まって、もう誰にも会いたくないし、なにもしたくない、気持ちまで萎しおれる日だったりする。

つい最近もそんな日があった。いつも以上にハードなスケジュールが続き、かなり疲れが溜まっていた月曜日。重要な打ち合わせがあるのに、とにかくスキンケアもメイクもする気力がわかない。それでもマナーとして元気な顔で仕事に臨むべきだと、ない気力を振り絞り、最低限のメイク顔を完成させたけれど、正直、美容を心底無視したいと思ったし、これから先ずっとメイクをし続けていくのかと想像するだけで、ぞっとした。

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年前には、そんな日が数ヵ月続いたこともあった。息子二人と一緒に離婚への道を選択した頃、お金もなければ気持ちの余裕もない、不安ばかりが増える中、続く離婚裁判。もう見た目なんて気にしている余裕もなければキレイでいたいとも思わない。自分ごとごそっと捨ててしまいたいと毎日のように思っていた。そんな気持ちに覆われていると、到底スキンケアをしようとかメイクをしようなんて気にはならない。毎日ぼさぼさの髪をひとつにひっつめ、疲れた顔丸出しのまま過ごしていた。大なり小なり、繰り返し続ける「美容が嫌いな日」。

美容とは、メイクとは、女が生きる上での力というか、生命力と深く深く繫がっているのだと思う。

だから、その気力が弱っているときには、連動するようにキレイへの楽しさや希望も薄れていくし、恋をしたり、新しい扉を開いたりと生きる力がみなぎっているときには、前のめりでメイクがしたくなる。
次のページ>>でも、そんな思いを繰り返してきて、わかったことがある。
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