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自分より優れている人を見ると、純粋に羨ましいな、と思う

年齢によって、いただく役どころが変わってきたんです。20代になったばかりの頃は高校生の役が多かったですし、23、4歳になってからは、スーツを着る役が増えてきて。新入社員や、新米刑事など……年齢によって役も変わっていくので、つねに新鮮なんですよね。なので、“慣れる”こともなくって。ドラマ『アカイリンゴ』では、ヤンキー高校生を演じていますし、“演じたことがあるな”と思う役が一度もないんですよ。だからこそ、毎回“芝居って難しいな”と思いますね。正解がないからこそ、面白いんです。
――同世代の俳優から受ける刺激も多いのではないでしょうか。
テレビなどを見ていて、同世代の俳優がものすごくいい役を演じていると、巻き戻してもう一度見て、必要であればメモを取って真似をするんです。それを繰り返して吸収していくことは常にしています。
そうですね。それが大作の映画でも、小規模の舞台であったとしても、それが良いお芝居だったら、同じくらい嫉妬するんです。自分より優れている人を見ると、純粋に羨ましいな、と思っちゃいますね(笑)。
――それってとても素直な感情ですよね。その気持ちを感じたからこそ、していることはありますか?
もしそこで「今に見てろよ」と思ったとしても、その気持ちを芝居には使いたくないんです。その反骨精神をむき出しで歌ったり、芝居をする人もいますが、僕は好きで芝居を始めたからこそ、そういった感覚ではいたくなくって。例えるなら、素敵なプラモデルを作って満足している時に、隣でもっと大きくてカッコいいプラモデルを作っている人がいるとしたら、「次はこういう大きいのを作りたい!」って思う感覚かな。

そうですね。なので、ドロドロした感覚とはまた違うんです。
――それは昔からの性格でしたか?
昔から“一番になりたい”ということに興味がなかったんです。大勢の前に立つこともあまり好きではなかったんですよね。なので、有名にはなりたいと思うことも、正直あまりなくて。今は仕事柄、そうなりたいと思うこともありますが、どちらかというと「有名になったらどうなっちゃうんだろう?」という気持ちが強いんです。
――上り詰めたいのではなく、お芝居がしたいという感覚が強いんですね。
そうですね。そこについてくる付加価値としての大きな舞台に出る、有名になるというのは、また後からのお話だと僕は思っています。