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【鈴木亮平】映画『エゴイスト』役によって変わるイメージを楽しみつつ「”大人の色気”普段からちょっとはあった」

出演作によって、まったく異なるイメージを与えてくれる鈴木亮平さん。話題となったドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』に出演してから初めて“色気”というワードを使われるようになり、役によって変わるパブリックイメージを楽しんでいるんだとか。インタビュー後編では、そんな彼が出演する最新映画『エゴイスト』についてはもちろん、今だからこそ楽しいと思えるお芝居について、さらに年齢を重ねて感じるようになった演技の難しさについてなど、パーソナルな部分を教えてもらった。
――映画『エゴイスト』では、阿川佐和子さんが演じる恋人の龍太の母との関係性がゆっくり、じっくり描かれていきます。今作に関わることで、より家族、親について考えたのではないでしょうか。

そうですね。浩輔の場合は、龍太を愛した理由のひとつとして、早くに亡くなった母を、龍太の母に重ねているということが非常に大きいですし、原作者がエッセイにも書かれていたように、龍太よりも、龍太の母親のことを愛しているかもしれないというくらい、大きな存在だったんです。でも、それは「自分を救うこと=エゴ」になるのではと悩むんですよね。実際に僕にも、自分の親はもちろん、大切な人の親も大切にしたいという感覚が、徐々に湧いてきている実感があります。

――それは年齢を重ねるごとにですか?

そうかもしれないですね。人の痛みや人の気持ちに自分が寄り添えるようになるにつれて、たとえば大切な人の母親は、自分の母親と同じ位大事という感覚が湧いてきた気がします。ただ、僕の母は元気なので、まだ浩輔ほどにその執着はないんです。きっと、これから一層そうなっていくのかもしれないですね。
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――そして、この映画『エゴイスト』のタイトルは、映画を観る前と、見た後では大きく意味が変わってくるように思いました。鈴木さんは客観的にどんなことを思いましたか?

僕も原作を読む前は、タイトルを見て“エゴイストってどんな話なんだろう”って思っていたんです。でも、最終的にエゴイストのお話だとは思わなかった。それよりも、“この愛はエゴなんだろうか”とつねに確認している人の愛の話なのだと感じました。映画でも、それほど心情説明はしていないし、余白が多いからこそ、いろんなことを思ってもらえる映画だと思いますが、ラストにもう一度『エゴイスト』とタイトルコールが出るときに、「この愛はエゴでしたか?」と考えさせられる作品になっている気がしていて……。僕自身も、最初のタイトルの印象と物語を観た後の言葉の定義が、変わっているように感じたので、この演出はすごく好きでしたね。

――ネガティブに捉えられがちな言葉が、すごく深い意味として伝わってきました。

そうですね。僕は言葉が好きで、いろいろ深く考える癖があるんですが、エゴイストという言葉にはやはり自分勝手でネガティブなイメージがあります。でも、単純にエゴ=ワガママとしてよいならば、そのワガママが他人の幸せに向かっているならば、それは美しいエゴとも呼べるし、愛と呼べるかもしれないし、それが人間という生き物の美しさでもあるんだろうなという気がします。
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