妻夫木聡インタビュー「ゼロになれ」後編
20代のときは、“自分がなぜこの役をやるのか”みたいな葛藤は本当になかった
でも、似た感じの役が続いたときも“殻を破んなきゃ”とか”役の幅を広げなきゃ”とか焦ったことはないです」
日本アカデミー賞繫がりで言うと、彼は2010年に公開された映画『悪人』で、最優秀主演男優賞を受賞している。殺人を犯し逃亡する、まさに“悪人”の役。
この作品で一気に役の幅が広がった印象があるが、「そこは全く意識していなかったです。ただ、原作を読んだとき、初めて自分自身でこの役をやりたいと思った。そういう役に出会えたことが大きかったです」と静かなトーンで話した。
「20代のときは、“自分がなぜこの役をやるのか”みたいな葛藤は本当になかったです。マネージャーが吟味して僕のところに持ってくる仕事については、断ったりはしなかったし、どう見えるかを考えるのは、マネジメントの仕事だと思っていました。
僕としては、毎回、『これが遺作になってもいい』というぐらいの覚悟で取り組むだけ。ただ、今になってみると、割とスター街道を歩ませたいというマネージャーの親心があったのかもしれないですね(笑)。
あとは、いつか演劇にも挑戦したいなとは話していて、25〜26歳で舞台に立つことは、計画通りに進めていたかもしれません」
