多彩な才能の持ち主の新たな挑戦は、切なく美しいアニメーション映画

【PROFILE】中川大志
いつもとは違う“筋力”を使って演じました
無尽蔵なポテンシャルを感じさせる彼が次に挑んだのは、田辺聖子原作の同名小説をアニメーション化した映画『ジョゼと虎と魚たち』。
2003年には妻夫木聡さん、池脇千鶴さん主演で実写化もされた名作だ。今回は、清原果耶さんとの瑞々しい顔合わせも話題になっている。
「切ないストーリーだけど、アニメーション映像がとてもきれいなんです。これまで僕がやらせていただいた洋画の吹き替えやキャラクターものとは、またちょっと違うトーンで臨ませてもらいました。今までとは違った“筋力”を使ったという感じがします(笑)」
担当したのは、自分の世界の中で生きてきた車椅子のジョゼとひょんなことから出会う大学生・恒夫の声。
「恒夫は4年生なので、22歳の僕にとっては、まさに等身大。心がけたのは、作り過ぎず、作らな過ぎずというバランスです。繊細なお話なので、ナチュラルさも大事だけれど、人間が映像の中にいるのと比べると、情報量が少ないので、それを補うために声に気持ちを乗せていくお芝居は必要になる。その調整が難しかったですね。同時に、体を使っている時とは違う声が出る面白さもありました」
もちろん俳優として長くキャリアを積んできた自負もある。
「声優さんにしかできないこともあるけれど、逆に僕ら声優じゃない人間、役者がやるからこそできることもあると思うんです」
「『こうじゃなかったらよかったのに』って僕も思うけど、悲観的になりすぎないようにはしたいなと思っています。『この状況だからこそできることを考えていたら、結果的にいつもとは違うチャレンジや発見ができた』と思える行動をしたいですよね。
それは、学生も仕事をしている人も同じだと思います。そうやって、きっとそれぞれの生き方が変わってくるんじゃないかって。今、この時代を生きている皆さん、一緒に頑張りましょう!」
最後は力強い言葉と共に、とびきりの笑顔を見せてくれた。
INFORMATION
『ジョゼと虎と魚たち』
12月25日公開

KADOKAWA/ Josee Project