わたしが27歳だったころ。
様々な分野で活躍する大人の女性たちにも、私たちと同じ、27歳のときがありました。「わたしが27歳だったころ」と題して、彼女たちが当時、何に悩み、どんな努力をしてきたのかを伺ってきました。センパイたちの経験から、素敵な大人に近づくヒントが見つかるはず!
脚本家・映画監督 北川悦吏子さん
30代で「ラブストーリーの神様」と呼ばれるようになるまでに北川さんがたどった20代の“夜明け前”。たくさんの痛みを通過した今は、心と身体に優しい生き方を探るように。

最近では、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』、『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』など。今with読者にお勧めしたい過去の名作は、『愛していると言ってくれ』。「人が人と強烈に惹かれ合う、その純粋な気持ちを描いているから」とのこと。
まだ何者でもなく、とにかくドラマの企画書を売り込んでいた時代
私、将来は作曲家になりたいと思っていたんです。病気を持った娘を自分のそばに置いておきたがった親を納得させるためにも、いい大学に合格しなければと思い、高校卒業後は、早稲田大学に進学しました。
しかし大学3年の時に、パタンと、作曲家の夢が潰(つい)えた瞬間が。当時はユーミンこと松任谷由実さんがたくさん素敵な曲を発表していて、ユーミンの音楽に浸りながら、気づいたんです。「私にはこんな才能はない」と。なにも、天才ユーミンと比べる必要はなかったんじゃないかと今は思うけれど、当時は切実でした。
少しでも音楽の仕事に関わりたいと、就活して採用された広告代理店は、今でいうブラック企業。あまりにキツくて半年で退社しました。でもそれだって、42社受けて、やっと受かった2社のうちの1つです。
次の年には、第二新卒として運よく制作会社に合格することができましたが、合格者は約600人中6人で、私以外は全員男性。しかも揃いも揃って映画オタクです。新人は、テレビ局にドラマの企画を通すことが仕事だったので、とにかく企画案を持っていけば、採用される可能性があると思って、必死で頑張りました。