温かさと苦しさを内包する きれいごとじゃない家族の物語

【PROFILE】小林由依(櫻坂46)
嘘のないカオルの生き方に心を寄せながら演じました
「まずは西加奈子さんの原作小説を読んで、カオルという女のコがどんな人なのか考えることからスタートしました。映画の中ではカオルの背景は描かれていないので、どんな家庭でどんな風に育ったんだろう?と自分なりに肉付けしていく作業をして。
矢崎監督とも相談させていただいたんですが、監督からは『原作にとらわれなくていい。小林由依が演じることに意味があるのだから』とアドバイスをいただき、心が少し軽くなった気がしました」
カオルを演じる上で心がけたのは、一番の理解者になること。
「カオルの恋愛対象は女性で、彼女は美貴が好き。それが“特別なこと”だとは思っていなくて、当たり前のものとして恋愛感情を抱いているんです。その思いを臆さずにストレートに伝えるシーンもあって、カオルはとても芯の強い人。
カオルが美貴に恋をしたのも、同じように美貴が自分の感じたままに生きる人だったからなのかな?と思います。それに現場に行くと小松菜奈さんは私が思い描いていた美貴として存在していて、だからこそ私も、美貴が好きというカオルの感情に素直にお芝居できました」
「段取り的なことはドラマとあまり変わらなかったので戸惑うことはなかったんですが、独特の緊張感みたいなものは常にありました。東京からロケ先の山梨への行き帰りの時間だけ、ホッとできるというか(笑)。
印象的だったのは、矢崎監督の現場にはチェック用のモニターがなかったこと。私にとってはそれがいい意味で腹をくくれるというか、チェックできていたら、自分の演技に悩んでしまったかもしれません。これは性格なんですけど、頭の中では答えも出てるし、前に向かおうとするけれど、心が追いつかないときもあって。今後は、もっと上手に切り替えられるようになりたいです(笑)」
個人での活動のモチベーションにはグループの存在も欠かせない。
「一人での現場は毎回すごく緊張するけれど、私がきっかけでグループにも興味を持ってもらえるかもしれないと思うと頑張れるんです」
INFORMATION
『さくら』
11/13より公開中

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