ピープル
小島慶子「令和女子のための新・教養」

小島慶子「それ、“男尊女卑依存症”かも」ー想像してみて。この社会で、10年後の自分は生きやすいだろうか?

この社会で、10年後の自分は生きやすいだろうか

「女のくせに」などと言われたことがない人も、実は気づかないうちに組み込まれている“構造的な差別”というものがあります。

2018年に東京医科大学などの医大入試で、女性受験者の点数が不正に操作されていたことが判明したのはその典型例です。出産などで働き方が変化する女性医師を排除する意図で、長年にわたり、半ば公然と女性差別が行われていました。

私も、企業の採用担当者が「成績順で採ったら女性が多くなってしまう(からそうならないようにしている)」とあっけらかんと語るのに何度か遭遇しています。

また、大学の教員からこんな話を聞きました。「中堅以下の大学では特に、総合職でも女性は容姿のいい学生から決まっていく傾向にある。採用する企業の側にまだ性差別的な意識が根強い」と。

つまり、制度の上では男女平等でも、評価には女性は容姿重視というバイアスが働いているのです。また、日本は男女の賃金格差が大きく、女性は男性の76.5%しか稼げません。

正社員に占める女性の割合は1〜3割という企業が大半です。こうした構造化された差別は、おかしいと感じても「こういうものだ」と諦めてしまいがちです。
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「ふーん、でも私は今のままでOK。努力と才能で乗り越えられるし、むしろ女性は希少価値があってラッキー!」という人は、女性差別がデフォルトの社会に過剰適応して、それなしではやっていけなくなっている“男尊女卑依存症”です。

本当に実力があるなら、女性の数が男性と同数になっても困ることはないでしょう。女性差別にNOということに何の不都合もないはずです。

もしもいまあなたが自身を「若く、美しく、男社会での駆け引きに長けた女性」で、現状に何の不都合もないと思っているなら、10年後、今ほど若くも美しくもなく、男性の性的関心をひかなくなってから、数少ない女性のポストをめぐって争わねばならない時にも、同じように思えるか想像してみて下さい。

どんな容姿や年齢でも、女性が人として正当に扱われ、能力を生かすチャンスがたくさんある職場や社会の方が、より安心して生きていけると思いませんか。

ジェンダー平等の実現とは、世界の人口の半分が性別を理由に差別されている現状を変えること。まずは「自分は差別にYESかNOか」を考えてみて下さい。これは人権問題なのです。答えはとてもシンプルなはずです。
小島慶子
こじまけいこ・タレント、エッセイスト。
東京大学大学院情報学環客員研究員。ふたりの男の子のママ。オーストラリアのパースに住み、日本と行き来しながらお仕事中。最新刊に『「もしかしてVERY失格!?」完結編 曼荼羅家族』(光文社)。
 
文/小島慶子 イラスト/MASAMI ※再構成 with online編集部
 
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