私たちはもっと気楽に生きられる――。比べなければ、ほら、堂々と私の顔で立っている。みんな、「絶対値」で生きよう、一緒にさ。仕事人・母・妻として小島慶子さんが感じたココロ60選が収録されています。
with onlineではその中から、with読者向けに抜粋したコラムを、水・金の週2回配信! 今回は「ダメ出し女子」がテーマのコラムをお届けします。

ダメ出し女子
テレビを見ながら「この役者は下手」「あの芸人は面白くない」「キャスターのネクタイの柄がありえない」などと勝手なことを言うのは楽しいものです。目についたものを片端からくさすのは一つのリラックス法なのかもしれません。でも、あんまりやっていると気持ちが荒むもの。それに、そうやって文句ばっかり言っている人とは一緒にいて楽しくないですよね。職場でそんなことをやられたら、鬱陶しくて仕方ありません。
ダメ出しは簡単だし、ちょっと賢げに見えるから、何か言ったつもりになれるんだと思います。5歳児と同じ「自分は他と違う」という主張です。でも、自分が何を良いと思うのかについては、なかなか語れないもの。褒めるのは勇気がいるんだと思います。「見る目がない」「わかってない」とダメ出しやさんに突っ込まれるから。
あなたの周りにもいるでしょう。文句やダメ出しが知性だと思っている人。否定することはできるけど、何かを提案することはできない人。最後は「はいはい、自分が一番賢いって言いたいのはわかりました」と誰も相手にしなくなります。
他の人から見たらつまらないものでも、自分が好きなら好きと言っていいはずです。一般的には全然評価されていなくても、自分にとっては価値のあることもある。好きな本や映画なんかそうですね。名作じゃなくても、忘れられないものってありますから。そんなの趣味悪いとかわかってないとか言われても、ほっといてくれ! です。
人付き合いでは、ダメ出ししていたら周りはバカばっかりに見えるでしょう。でもそれは決して、自分が利口であることの証明にはなりません。むしろ、逆かも。人のいいところを見つけることができないってことですから。
ある有名な女優さんは「私は、相手のいいところとだけしか仕事しないの」と言ったそうです。いい仕事をするには、相手の嫌な面に注目するのではなく、いいところとだけ繫がるようにする。これを聞いてから、ちょっと仕事のストレスが減った気がします。この世をつまらなくするのも、ましにするのも目の付けどころ次第なんですね。

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