ピープル
小島慶子「令和女子のための新・教養」

小島慶子の【ルッキズム論】職場での「先輩は美人だから」はOK?NG?

ところがワイドショーでは「渡辺直美さんはこの件についてはなんとも思っていないはず/でもコメントを出さざるを得ないので大人な文章を出した」など、渡辺さんの気持ちを勝手に決めつけ、女性芸人の容貌いじりの笑いに寛容であるかのように印象付けるコメントがありました。

旧来のテレビ・広告業界のやり方に異議を唱える渡辺さんの発言を「あのコメントは本心じゃない」と言って打ち消そうとするかのようです。

私にも何度も経験がありますが、女性が発言をすると、そばにいる男性がそれに解説を加えるていで勝手に言い換えたり、わざと曲解して批判し、発言を無効化しようとすることがあります。ジェンダーに関する発言だとなおさらです。これも職場あるあるではないでしょうか。
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「先輩は美人」もNG? 見た目に触れていい場、ダメな場

女性差別をなくすために闘ったアメリカの最高判事ルース・ベーダー・ギンズバーグは夫について、デートした男性の中で唯一、彼女に頭脳があること、つまり彼女の知性に関心を示した人だったと語りました。

女性は外見だけで判断されやすいのです。でも、ルッキズムについて知ると「貶(けな)すのもダメだし、褒めてもダメなら何を言えば?」と不安にもなりますよね。まず、見た目を褒めることが本当に必要な状況なのかを考えてみましょう。

初対面の人の外見に言及するのは失礼だし、職場で「あの新人はイケメンだね」「先輩は美人だから」などと言うのも、たとえ褒めたつもりでも、NGです。仕事に外見は無関係ですから(私もかつてそうとは知らずにやってしまっていたので激しく後悔)。

友達や家族でも、見た目を言われるのは気になるもの。ダイエットした?とか、太った?と言われてイラッとしたこと、あるでしょう? 人には顔や体型以外にも褒めるところはたくさんあります。話が面白いとか、一緒にいると安らぐとか。その方が言われて嬉しいですよね。

素敵だな!と思った時は、顔立ちや体型ではなく、髪型や服を褒めるといいかも。もちろん、恋人との親密な会話の中では、愛情表現として「あなたは魅力的だ、美しい」と言うことはあるでしょう。大事なのは、その人の存在そのものを讃えること。

外見以外で人を褒める言葉を増やしたら、人付き合いがもっと楽しくなりそう。人前に出る時の不安も減るはずです。みんなで一緒に思考訓練しましょう!
小島慶子
こじまけいこ・タレント、エッセイスト。
東京大学大学院情報学環客員研究員。ふたりの男の子のママ。オーストラリアのパースに住み、日本と行き来しながらお仕事中。最新刊に『「もしかしてVERY失格!?」完結編 曼荼羅家族』(光文社)。
 
文/小島慶子 イラスト/MASAMI ※再構成 with online編集部
 
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