ピープル
小島慶子「令和女子のための新・教養」
29.Oct.2019

「あなたのために」は支配欲を隠すための枕詞。言われた時は用心しなくちゃいけません【小島慶子の令和女子のための新・教養】

オトナになるって楽しい!小島慶子の令和女子のための新・教養【Vol.2】

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忙しい毎日、みんな自分のことで手いっぱいで、他人の心配をする余裕なんてありません。そんな世知辛い世の中で「あなたのためを思って」なんて言ってくれる人は、実に有り難いですよね。
自分が何者かもわからなかった20代前半には、大人たちのアドバイスを全部真に受けてしまって悩んだこともありました。ダメ出しだらけの迷走期を経て30歳にもなると、今度は自分が誰かに言ってみたい気持ちが湧いてきます。つい後輩に「あなたのためだから言うけどね……」なんて。

私にもイタい思い出があります。ある後輩にはここをこうすれば良くなるし、あんなことを言われていることを知っておいたほうがいい、と張り切ってアドバイスしたのです。「あなたのためだよ」って。でも後輩は聡明な人で、ちゃんと反論してくれました。それを聞いている途中で気がついたのです。

あ、私、あの人達と同じじゃん。「小島のためだよ」「せっかくのいいところがもったいない」「自分では気がついていないでしょ」……後から考えたら、それって全然私のためじゃなかった。〝ため〞の衣を剥がした中身は「言うこと聞け」とか「恩に着てね」だったんだよなと。

私は彼女にとって「特別な先輩」になりたいだけだったのです。後輩思いだと思われたかった。そういう自分の心理に全く気がついていませんでした。それどころか、本当に相手のためを思って親切をしてあげているんだと信じていました。後輩は、めちゃくちゃ迷惑だったと思います。


なぜそんなことをしたのでしょう。自分にはない才能を持った人に対する憧れと嫉妬と、支配欲。そんなドロドロしたものを抱えているのが苦しくなったから、いい人をやりたくなったんです。アドバイスの押し売りで、無自覚にハラスメントをしていたということ。最悪ですよね……。
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