ピープル
小島慶子「令和女子のための新・教養」
08.Mar.2020

小島慶子「必要なのは女性同士の連帯と自分インタビュー」【「自分探し」に疲れた人への処方箋】

SNSの広がりとともに、「自分らしさ」を持つことが最重要課題のようになりつつある昨今。そのため気づけば、“自分らしさ=キャラ立ちすること”と誤解され始めている気がします。“自分らしさ”とは決して強烈な個性でもなければ、周りから見て分かりやすいものとも限らないはず。本当の自分らしさの見つけ方とは?

今どきの「生きづらさ」を小島さんが解説!

社会には、女性が本当の意味で“らしく”生きることを阻む壁が多く存在しています。小島さんが様々なニュースと共に、壁の実態と、それを乗り越える術を教えてくれました。

バリバリ働くことにも結婚にも“らしさ”を感じない女性たちがいる

 アナウンサーを経て、現在はエッセイスト、タレントとして活躍中の小島慶子さん。一見正しく見える社会のシステムの裏に潜む不条理を見抜き、私たちに分かりやすく伝えてくれることでも知られています。その小島さんに、今なぜwith読者たちが“らしさ”探しに疲れているのか、伺ってみました。「先日、女性向けの講演をおこなったとき、29歳の女性がこう質問してきたんです。『今の女性の生き方の選択肢は、バリバリ働くか、結婚して子育てに邁進するかしかない。この二極化が辛いんです。バリバリ働くことにも婚活にも興味ない、そこそこ頑張って生きたい女性はどうしたらいいのですか?』と。私もハッとしたのですが、この2つ以外の生き方を求める女性たちは、社会から放ったらかしにされているんですよ。“らしさ”探しに疲れているのは、このように社会がイメージする数少ない生き方やキャラクターを強要されているからではないでしょうか」

“らしさ”の選択肢が少ないのは、これまで女性の人生は男性ありきで形成されるものだったから。結果、それ以外の生き方を支える制度が手薄になってしまった、と小島さんは指摘しています。「女性が自立して生きていくための制度はまだまだ不十分です。医大の入試でも明らかになったように、性差別も厳然としてある。だから“れはおかしい、ちゃんとした制度を作ってくれ”ということが必要なんです。そのための鍵はシスターフッド(女性同士の連帯)にあります。バリキャリでも育児邁進でもそのどちらでもなくても、女性が不利益を被り、安心して暮らせない社会には一緒にNOを言うことが重要です」

自分にインタビューをし続けていれば自然と“らしさ”は生まれる

社会が強要する”らしさ”から自由になるためには、まずは自分を知ることから。生きづらさを語ろうにも、「自分はこんな生き方をしたいんだ」と分かっていないことには、最初の一歩も踏み出しようがないもの。そこでまずは「自分インタビューをしてみましょう」と小島さんはアドバイスをくれました。

「”らしさ”=キャラだと誤解している人も多いですが、“らしさ”は脳みそ、つまりその人が“何を考えているか”なんです。皆さん、自分がどういう人間か、案外言葉にできないでしょう? 私も就活のときに随分考えました。『なぜ私はラーメンが好きなのか?』、『なぜテレビに出たいのか?』とかね。小さなことをとことん堀り下げると、自分の芯が見えてくる。もし、憧れのタレントがいるならキャラを真似るのではなく『なぜ私は彼女に憧れるのか? どこに憧れるのか?憧れ以外の感情があるならそれは何か?』と自分に聞いてみて。物を考えると自分が誰だかわかってくるし、言葉の端々に“脳のこなれ感”が出ます。それが個性であり、結果としてキャラ立ちするんですよ」


アイドルたちの個性は果たして“自分らしさ”なのか?

“アイドルらしくない”個性派アイドルが増えている昨今。でも意志の強い個性は“勘違い”と批判されがち。政府の唱える「女性活躍推進」も同じで、女性の経済的自立を可能にする施策はまだ不十分。見せかけの個性尊重や活躍推進には用心しないといけませんね。

ふつうに頑張って生きていきたい。でも女性というだけで不利な現実

昨年明らかになった、医学部入試の女性差別問題。また2019年のジェン ダーギャップ指数ランキングで、日本は153ヵ国中121位。女性が結婚もせず、バリバリも働かず生きていくには、日本はものすごく不利な社会。だからこそ今、女性同士がつながって課題をシェアする力が求められています。

男性にも“らしさ”の強要に苦しんでいる仲間がいる

「男性は家庭より仕事優先が当たり前」という規範に対して「何で?」と抵抗を覚えたり、「非正規雇用で将来が不安だけど弱音を吐けない」などと苦しんでいる人はいます。「男性は分かってくれない」という思い込みを取り外し、同じ生きづらさに悩む仲間を見つけることも大事。
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小島慶子さん 1972年生まれ。TBSアナウンサーを経て、現在はエッセイスト、タレントとして活躍中。多数の連載を持っており、with onlineでも「小島慶子の令和女子のための新・教養」が大好評!
取材・文/山本奈緒子 ※再構成 with online編集部
 
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