ピープル
女優・松本まりか 「吐き露わ」
29.Sep.2020

女優・松本まりかの新連載がスタート「壮大な“実験”を始めます」【第1回】

どんな言葉が生まれるのか、自分でも想像できない

松本まりか。女優。36歳。

彼女には、心の奥底に秘める、何か強いパワーがある。圧倒的な思慮と、突出した克己心。目の奥に潜む強欲さと、無欲さ。いくつかの強い感情が複雑に絡み合い、それが演技に滲み出る。

女優デビューからドラマ『ホリデイラブ』で脚光を浴びるまで20年。今、こうしてようやく水面に出るまで、呼吸もできない深い海を彷徨い続けた。

“女優”としてではなく、“一人の人間”として彼女に真正面からぶつかると、何か不思議な、前向きなパワーが生まれるかもしれない。彼女が語る言葉の中には、これからを強く生きていくためのヒントがあるに違いない。そう思い、連載をオファーした。

企画書を送ると、24時間も経たぬうちに快諾の返事がきた。

「まさに運命だと思いました。実はお声がけいただくまでは、私なんかが自分の思いを言葉にして誰かに伝えられるなんて、思ってもみませんでした。

でも半年ほど前、本当にふと、過去の経験やその時生まれた感情を文字にしてみたいと思ったんです。自分の奥底からはどんな言葉が出てくるのだろうか、どんな自分に出会えるのだろうかと。だからあまりの偶然に、気づいたら即答していました」

自分の恥部に真正面から向き合い、どんな言葉が生まれるのか試したい

今でこそ、テレビ番組や雑誌でインタビューを受ける機会は驚くほどに増えた。しかし。

「デビュー以来、ここ最近までは自分のことを話す機会なんて、ほとんどありませんでした。その上、『本当の自分を出しても、受け入れられないんじゃないか』という葛藤もあった。受け入れられなかった時の恐怖を想像すると、簡単には“自分そのもの”を出すことができなかった。案の定その間に、だんだんと“言葉”がゴチャゴチャと複雑に絡み合って、ずっと私の中に居座り続けている感覚が確かにありました。今でもまだ、あります。

その一方で、『ホリデイラブ』への出演以降、ありがたいことに“私そのもの”に注目してくれる機会が増えて。

すると必然的に自分に向き合う時間が生まれ、でも反比例するように『私って何?』という自分への問いも生まれてきた。その複雑に絡み合った言葉が、整理されずに外に出てしまっていいのか。自分の中でちゃんと紐解いて、丁寧に感情を可視化した方がいいのではないか。

だからこの連載を通して、ゆっくりと時間をかけて、本当の、本当の自分というものに向き合ってみたいと思ったんです。

と言っても、正直どんな言葉が出てくるのか、どんな自分に出会うのか、全く想像もできません。心も身体も日々刻々と変化しているからこそ、綴る言葉も毎回変わってしまうかもしれません。

私にとってこの連載は、人生における壮大な“実験”のようなものだと思っています。目を背けたくなるような自分の恥部に真正面から向き合い、どんな言葉が生まれるのか試したい。そうして生まれた言葉を紡ぐことでしか、私が私を発見する術は他にないんじゃないかと思っています。

毎回のインタビューが実験だからこそ、どんな言葉が出てくるのか想像もできない。昨日信じていたことを、もしかしたら明日には全否定しているかもしれない……けれど、それは実験したからこその結果であって、日々壁にぶつかっては脳をフル回転させて、そのたびに心と身体が少しずつ成長しているから、と思ってもらえたら嬉しいです。
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