
激動の時代を乗り越えてきた先人たちの声が、きっと令和を生きるOLたちへの応援歌となる。至極の名曲(人生)を集めることを目指して、社会学者の古市憲寿さんによる対談連載!
今回は約70年前から女優として活躍する草笛光子さんが登場!
古市憲寿が草笛光子さんに聞く「理不尽と戦い続けるメンタル」

【PROFILE】草笛光子
近年は映画『老後の資金がありません!』やドラマ『その女、ジルバ』などに出演。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では大泉洋演じる源頼朝を支える乳母、比企尼(ひきのあま)役を演じている。1999年に紫綬褒章、2005年に旭日小綬章を受章。
歌劇団で有名な親を持つ子が生徒代表のスピーチを読む姿を見て、イラッとしたんです(草笛さん)
■草笛 「全然なかったです! 幼稚園の頃は人見知りで、先生に名前を呼ばれても返事ができないタイプ。家族以外とは目を合わせて話せないような、典型的な内弁慶でした。当時はまだ戦争中だったし、こんな人生を歩むなんて想像できなかったです」
■古市 「それなのに高校生で松竹歌劇団に入ったのは、かなり勇気がいる挑戦ですよね。どんな経緯でオーディションを受けたんですか?」
■草笛 「私の実家に居候していた家族のお嬢さんに頼まれたんです。『光子さん、オーディションを受けてみてよ』って、何度も何度も自分の夢を託すように語りかけてくるから、断るのも可哀想だし、しょうがないかと。いざ試験会場に行ってみたら、周りはパーマや化粧を施したあか抜けた女の子ばかり。飾りっ気のないお下げ髪で参加した私は一人だけ浮いてたわね(笑)」
■古市 「でも、受かったんですよね。凄いな。その時点で、芸能界で働く覚悟はできていたんですか?」