「なりたかった自分になれなくても、頑張りは無駄にならない」葛藤しながらも自分のやりたいことを追い求め続けた小説家が、悩めるアラサー世代に伝えたいこと

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「普通の幸せ」の可能性があるのかもしれない、と恋人にすがろうとした

――悩みながらも仕事と創作活動を両立させてきて、それでも会社を辞めようと思ったのはなぜですか?

やっぱり、投稿がきっかけですね。いずれ小説を書かなくなるとしても、今のままでは後悔すると思ったんです。会社を辞めないでいると、あの時会社を辞めなかったから小説を書けなくなったんだと編集部のことを恨んでしまいそうな気がして。編集部も、編集者の仕事も好きだったのでそれは嫌でした。もう2、3年続けて28、9歳になった時に辞められる自信もなかった。今なら勢いで辞められる、と思い、1回リセットしたいですと相談しました。それから一年くらいかけてやりかけの仕事を整理して、26歳のときに退職しました。

――そこからは執筆活動に専念を?

生活費は稼がないといけないので、1年半ぐらい、学習情報誌を作っている会社に派遣で勤めていました。それなら書く時間を確保できると思ったんですよね。でもやっぱりだんだん忙しくなって小説を書く時間も減ってきて……そうしたら、年上の友人に「何のために会社辞めたの?」と言われてしまった。プライベートでもうだうだしていた時期なんですよ。当時の恋人の都合に合わせるような付き合い方をしてしまっていて。先ほども言ったとおり、プライベートを全部なげうってまで頑張るのが怖くなってた時期でもあるので、自分にも「普通の幸せ」の可能性があるのかもしれないと初めて思って、その人にすがろうとしてしまったんですよね。でもそのために時間をとられるので書きたいものが書けなくて、しょっちゅう癇癪を起していました。

 

――恋愛と仕事の悩みが重なったというか、一体化せざるを得ない状況というか……。会社を辞めても一直線にうまくいくわけではない、というのはとてもリアルですね。

ここで「結婚」というカードを手に入れたら、普通のことがちゃんとできなかった私もようやくみんなと足並みがそろえられる。頑張っていた自分も、いったん報われたような気持ちになれる。と、状況の一発逆転を狙ってたんだなとあとから気づきました。相手からしてみれば、頼んでもいないのにいい迷惑だっただろうし、中途半端な私に振り回されて、本当に申し訳なかったと思っています。

その後、彼と別れて半年くらいしたころ、ほろ酔いで夜道を帰りながら「1人でも全然さみしくないな!」と思った瞬間があって(笑)。その翌日に、学習情報誌の仕事は辞めると決めました。本当に周りの方に恵まれていて感謝しているのですが、ちょうどその頃、作家時代・編集者時代の知り合いから、乙女ゲームのノベライズやライター仕事をふってくれるようになっていたんですよ。「書く」仕事なら小説家と両立できるかもしれないと思い、28歳で、本格的にフリーランスでライター業も始めることにしました。

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