「なりたかった自分になれなくても、頑張りは無駄にならない」葛藤しながらも自分のやりたいことを追い求め続けた小説家が、悩めるアラサー世代に伝えたいこと

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誰かや何かのせいにせずに、人生を歩んでいきたい

――前々回おっしゃっていた「まず1人の足で立つ」ことができたら、色々なことが明確になるのですね。その1年後くらいに青い鳥文庫「それが神サマ!?」シリーズで単行本を出されています。

はい。『ダ・ヴィンチ』を辞めるころからずっと、友人に、「30歳になるまでに、またオリジナルの小説を1冊出す」と言っていたんですよ。何の根拠もなかったんですけど、それを念頭に置いてるだけで違ったのかなと。自分で気づいてはいないけれど、常に意識がそっちに向いているというか。以前紹介してもらった青い鳥文庫の編集さんに、何もアイデアは浮かんでいないので会いに行くのをためらっていたんですが、勇気を出して相談しに行ってみたら話が進んで。31歳になる2か月前くらいに本が出ることが決まりました。一応30歳のうちに決まったのでギリギリ間に合ったと言えるのかなと(笑)。

 

――根拠がなくても目標と期限を決めて宣言するというのは、実現したいことがある方にはとてもいい方法ですね。

目標の方に向かう選択を無意識のうちにするようになるのだと思います。頑張ったからといって必ずしも報われるとは限らない。でもそれでも自分にやれるだけのことを必死で頑張り続けたら、望んだ結果にはならなくてもきっと無駄にはならないし、次の何かに繋がるはずだと思えるようになりました。

結果として今の自分がなりたかった姿かというと一概にそうとは言えないし、普通に結婚して子どもを産める人生だったらな、と思うことは未だにある。でもまあ、誰にだってその程度の未練はあるものですしね。「けっきょく私はこういうふうにしか生きられないんだよな~」と今の自分には納得しています。

『忍者OL』の監修をしてくださった現役忍者の習志野(青龍窟)さんが「人は納得できないことがいちばんつらいんですよ」とおっしゃっていたことがあって。いずれ傷つくかもしれない可能性も含めて、どうすれば自分が納得できる人生を歩んでいけるか、誰かや何かのせいにせずにいられるか……それを基準に、道を選んでいけたらなと思っています。

――やはり陽菜子の生き方と重なる部分があるように感じます。

今言ったように思えるようになったのが、ちょうど陽菜子と同じ30歳手前くらいだったんですよね。陽菜子を通じて、そういうことを書こうとしていたのかもしれないなあ……と今日お話ししているうちに思いました(笑)。

――今、悩みを抱えている方たちの背中を押すような素敵なお話をたくさんしていただきました。ありがとうございました!

 

【Profile】

橘もも(たちばなもも)

1984年、愛知県生まれ。2000年『翼をください』でデビュー。著書に青い鳥文庫『それが神サマ!? 』シリーズ、ノベライズに『小説 空挺ドラゴンズ』『さんかく窓の外側は夜 映画ノベライズ』『大怪獣のあとしまつ 映画ノベライズ』など。立花もも名義で、ライターとしても活動。「A.B.C-Zやプロレスなどライターの仕事で出会ったものを好きになって、それが小説に生きている。影響を受けやすいんです(笑)」(橘さん)。

【Information】

『忍者だけど、OLやってます遺言書争奪戦の巻』双葉文庫 660円+税

通称『忍者OL』の第4弾。「抜け忍」である陽菜子の勤める会社の会長・和泉沢輿太郎が亡くなった。跡継ぎが記された遺言書をめぐり、様々な思惑を持つ人々が動きだす――。頼りない印象の強かった和泉沢がほかの誰にもできないやり方で、会社を守ろうとする姿に胸を打たれる。和泉沢と陽菜子が決めた、2人の生きる道に注目を!

シリーズ1巻はこちら

撮影/干川 修 取材・文/門倉紫麻
 
39 件

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