〈低圧力鍋〉あなたはこの“中途半端さ”を愛せますか?【いそがし家庭は金で解決だ!】第11回
毎日の料理の手間や負担が減らせる調理器具があれば、ごはん作りはラクになる、そしてよりおいしくなる! お掃除を自動掃除機に頼るなら、料理も便利な道具を活用しませんか?
アイディア溢れる料理家としても人気の高い稲田俊輔さんが、おすすめの製品を使った夕ごはんに役立つオリジナルレシピを提案します。忙しい家庭にとって一番惜しいのは「時間」。優秀な調理器具や調理家電で貴重な時間を手に入れる=【お金で解決しよう!】という連載です。
教えてもらうのは…… 稲田俊輔さん

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「低圧力鍋」、耳慣れない道具だと思います。どういうものかというと、圧力鍋の一種だけど通常の圧力鍋ほど高圧にならない鍋です。「要るのかそれ?」と思われる方が大半かもしれませんが、どうかしばしお付き合いください。最後まで読んだらかなりの確率で欲しくなると思います。
その前にまず「圧力鍋」についておさらいです。
圧力鍋は、皆さまご存知の通り、煮込み時間を大幅に短縮できる鍋です。では、なぜ短縮できるかご存知ですか?
水の沸騰温度は通常100℃ですが、気圧が低いほどそれは低くなります。山などの高地でご飯が美味しく炊けないのは、沸騰温度が100℃よりだいぶ低くなってしまうからです。ちなみに最近、タワマン高層階でも米がおいしく炊けないというウワサを聞いたことがあります。本当か嘘かはわかりませんが。
話が逸れたので戻します。逆に、気圧が高いと沸騰温度は100℃を超えるということになります。圧力鍋はこの原理の応用です。高温で食材を煮込むことになるので、早く柔らかくなるのです。具体的に言うと、一般的な圧力鍋は気圧100キロパスカルなら、温度は約120℃。例えば肉が柔らかくなるまで煮込むのに、普通の鍋(0キロパスカル/100℃)だと60分かかるとして、理論上、圧力鍋ならその1/4、15分くらいで済みます。文明って素晴らしいですね。
では「低圧力鍋」はどうでしょう。
今回お試ししたマイヤーの低圧力鍋、『クイッカー クッキング』の気圧は2キロパスカル程度だそうで、あくまで僕の使用感ですが、調理時間は普通の鍋の半分くらいになります。普通の鍋60分、低圧力鍋30分、圧力鍋15分、といったところです。中途半端? 確かにその通りです。しかし実は、低圧力鍋には、圧力鍋には欠けている圧倒的な使いやすさもあるのです。具体的に見ていきましょう。

今回はマイヤーの低圧力鍋『クイッカー クッキング』を使用。肉の煮込み料理の調理時間は通常の圧力鍋の「半分ほど」に短縮。
低圧力鍋最大のメリット、それはいつでも蓋が開けられることです。何でもないようなことですが、これは実に重要。普通の圧力鍋の場合、蓋を開けようと思っても、すぐには開けられません。しばらく時間を置く(圧力と温度を下げる)必要があります。
しかし低圧力鍋の場合はなんと、普通の鍋の蓋を開け閉めするのと同じように、ワンタッチで蓋をいつでも開け閉めできるのです。加熱が終了したらすぐ盛り付けに移れるだけでなく、調理途中でいつでも蓋を開けて食材の硬さを確認することもできます。蓋をすれば圧力はまた戻ります。
さらに低圧力鍋は蓋がガラスです。つまり蓋を開けずとも、常に中の様子が視認できるのです。煮詰まりすぎていないか、煮崩れていないか、一目瞭然。圧力鍋は文字通り「蓋を開けてみないと」中がどうなっているのか全くわかりません。あれ、使い慣れててもちょっと不安ですよね。
このことが何を意味するかというと、低圧力鍋は完全に普通の鍋と使い方が同じということなんです。言い換えれば普段使いの鍋。圧力鍋は、普段しまい込まれていて、使う時だけ「よっこらせ」と収納場所から出してくる調理器具ですが、低圧力鍋は極端な話、常にコンロの上に乗っているレギュラー鍋として運用可能。
特に圧力が必要なくても、青菜を茹でたりお味噌汁を作ったり、日常的な用途にも使いやすい形状です。しかもデザインがシュッとしているので、鍋ごと食卓に出せる系の鍋でもあります。
いそがし家庭は金で解決だ!

「いそがし家庭は金で解決だ!」に関する記事をまとめたページはこちら。 with classでは、教育・住まい・時短術をメインに、暮らしをラクに豊かにする、共働き夫婦向けのトピックを発信中。
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いなだしゅんすけ/料理人、飲食店プロデューサー。南インド料理店「エリックサウス」総料理長。鹿児島県生まれ、京都大学卒。和食、フレンチ、洋食、インド料理などさまざまなジャンルのメニュー監修や店舗プロデュースを手掛ける。著書に『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』(柴田書店)『チキンカレーultimate21+の攻略法』(講談社)ほか。新刊『個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド』(西東社)も好評発売中。