「“普通”は場所によって変わると実感した」“自分には居場所がない”と感じていた小説家が、社会人になって気づいたこと

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『忍者だけど、OLやってます』――タイトルを聞いただけで「忍者が会社にいるってこと……?」とワクワクしてしまう小説シリーズの新作「遺言書争奪戦の巻」が発売。主人公は、忍者の世界に馴染めずに里を抜けだし、エネルギー関連の会社で忙しく働いている28歳の陽菜子。自身の生き方に悩みながら成長していく彼女の姿を丁寧に描いてきた、著者の橘ももさんにインタビュー。15歳で作家デビューし、会社勤めも経験した自身のキャリアについても語っていただきました!

【これまでのインタビューはこちら】

 

4巻を書き終えて、お風呂でちょっと泣きました(笑)

――前回、「誰かと一緒に生きるには、まず1人で立つことが大事」というお話をいただいたことにもつながるかもしれないのですが……陽菜子は「ぼんくら」でお人好しな和泉沢のことを「守りたい」とシリーズを通して言ってきましたが、4巻では言わなくなりましたね。

陽菜子の変化なのか、私の変化なのかわからない部分もあるんですが、手放さないと駄目なんだな、と思ったんですよね。私も心配でつい相手に何かしてあげたくなる性格なんですが、相手を信じるというのは、相手が相手の責任で生きていくことを受容することなんだなと。

家族だろうと、恋人だろうと、一緒にいるからといって歩む道が一つにはならない。たまたま重なり合って1本に見えているだけで、死ぬまで道は2本のままなんですよね。相手の人生を自分の人生の一部のように勘違いしてはいけない。守ろうとすることで、相手を制限したり、可能性をつぶしてしまうこともある。

陽菜子が和泉沢を「守りたい」と言っていたのは、ある意味では和泉沢に依存していたのかなと思うんですよね。「相手のために何かをする」ことを自分の存在意義にしてしまっているし、和泉沢を軽んじてもいる。それでは対等な関係は築けない。

――1巻から読むと、2人が必要な分だけ時間をかけて成長してきたということがよくわかってぐっときます。4巻を書き終えて、橘さんご自身も作家として変化を感じたそうですね。

初心に戻れた気がしました。今回、今までになく書くのに時間がかかったんですよ。構造をこれまでと変えたり要素を増やしたりしたからだと思うんですが、半年くらいかかりました。その間に、なぜ自分は小説を書きたかったのかとか、どういう小説を書きたかったのかとか、小説を書くことそのものにも向き合うことになったんです。

そうしたら、小説を書いてきて初めてちゃんと書きたいことが書けて……書き終えた後、お風呂でちょっと泣きました(笑)。これからもっと、いろいろなものが書ける気がしています。編集さんには今までさんざん締め切りに遅れて迷惑をかけてきたのに、「次の小説、書きたいです!」と連絡しました(笑)。

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