本当は投資家ではなく法律の道に進みたかった
もちろんお金の教育は受けたほうがいいと思うし、今ではその重要性を伝えている立場ではあるのだけれど、僕は子ども時代にマネー教育は全く受けませんでした。
そもそも、投資家になるつもりなんて全然なかったし、就職活動をするときも興味なかったんです。本当は弁護士とか検事になりたかったんですね。だから法学部を卒業したのだけれど、残念ながら司法試験に合格しなかった。それで、大学卒業後は企業に就職して、ちょっとお金を稼いでから司法試験の予備校に通うつもりだったんです。社会人としてちょっと箔をつけられて稼げそうな会社で数年間働いて、お金を貯めようとした。その経緯があって、たまたま投資顧問会社が給料が高かったから、そこに就職しただけ。だから、大学時代に投資家になる準備はしていなかったし、お金の教育を受けたことはありません。社会人になってからお金のことを学んだ人間なんですね。
お金の勉強といえば、アナリストになるために必要な証券アナリスト試験を受けるため、証券分析や経済、財務分析、そういったものを勉強をしながら、実地で投資の仕事をしていました。
お金そのものより、興味があるのは企業とは何か、働くとは何かということ
投資顧問会社で僕が配属されたのが、中堅中小企業に投資する部署だったんです。社内には、5歳のときに見た屋台のおじさんみたいな人がいっぱい来ていました。上場間近で売り上げも小さく、大企業の経営者のようなパリッとした感じではなくて、いわゆる中小企業のおじさんって感じの人で、本音で生きている人たちでした。
30年ほど前の話なので、当時はコンプライアンスとかセクシャルハラスメント、パワーハラスメントといった言葉がない時代。そのおじさんたちっていうのが、ノーコンプラ、セクハラ、パワハラ、もう“セ・パ両リーグ制覇”みたいな人ばかりで、その人たちがワーワーと大きな声で話すんですよね。僕はその仕事に全然馴染めなくて……。早くここから足を洗って、検事になってこの人たちを逮捕しようとすら思っていたんです(笑)。
ところが、3年、5年とやっていくうちに、仕事がどんどん面白くなってきたんです。なぜかというと、だんだんとものの見方が変わってきて、中小企業のおじさんたちに対して、「この人たち、すごいな」と思うようになったんですよ。だって、何もないところから会社を作って、会社を大きくして、売り上げを上げて、製品や商品、サービスを導入し、お客様を発見し、利益を得て社員を雇い、社員に給料を払い、税金を払って、それで会社を大きくして上場まで来たわけですよ。
世の中にはいろんな会社があります。見たことも聞いたこともないような、考えたこともないような会社が本当にいっぱいある。水道の蛇口を作っている会社とかね。水道の蛇口って自然に生えているわけではないから、誰かが作っているわけです。普段生活していると、水道の栓を作っている会社に興味を持つことってほぼありませんよね。でも、水道の栓を作っている会社にとってはそれが人生で、水道の栓を作ることに命を燃やしている人たちがいる。それが社会で役に立って、結果的に会社の価値を生み、会社の価値として株を発行し、頑張れば株価が上昇し、そうでなければ下がる。
お金の勉強というよりも、企業とは何か、働くとは何か、会社とは何かってことをそこで僕は学んだのです。そのことを通じてお金について考えたり、お金を増やすということをするんだけれども、お金そのものをどうするかということに僕は関心を持ったことがないし、今もそんなに関心はないんですね。
マネートピックス

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