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【なんで 人間だけは殺して食べちゃダメなの?】「漫画の日」に読みたい、現代社会の矛盾を問う『ダーウィン事変』って?[無料漫画試し読み]

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7月17日は「漫画の日」。そんな日にぜひ読みたい漫画が、「マンガ大賞2022」を受賞した今年一番の話題作『ダーウィン事変』です。

主人公は、人間とチンパンジーの交雑種「ヒューマンジー」のチャーリーです。彼の存在を通して問われるのは、差別、テロ、人権と動物の権利、など現代社会が抱える多くの矛盾。アメリカを舞台にしたこの作品は、海外ドラマや映画ファンにもおすすめです。

半分ヒト、半分チンパンジーの「ヒューマンジー」

「漫画の日」である7月17日。1841年のこの日、イギリスの絵入り風刺週刊誌『パンチ』が発刊されました。『パンチ』は、廃刊となる1992年まで150年あまりもの間、貧困、飢餓、鉄道バブル、テムズ川汚染、女性解放などイギリスの政治と社会に鋭く切り込んだ風刺画を掲載し続けました。『パンチ』はイギリス国外でも派生誌が作られ、日本でも1862年に、『ジャパン・パンチ』が創刊されました。これは、日本における漫画の原点である「ポンチ絵」の由来となりました。

『パンチ』のあり方からわかる通り、漫画のはじまりは、社会風刺、つまり社会への鋭い目線とユーモアを忘れない表現にあるでしょう。2022年の今、講談社「アフタヌーン」で連載中の『ダーウィン事変』こそ、この社会風刺という漫画の原点を明確に継承している作品といえます。

『ダーウィン事変』は、今年ナンバー1の話題作です。書店員を中心とした有志の漫画読みが選ぶ「マンガ大賞 2022」を受賞。今年度、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞にも選ばれました。

なぜ話題作なのか。まず、その設定です。主人公は人間ではありません。半分ヒトで半分チンパンジー、「ヒューマンジー」のチャーリーです。

舞台はアメリカ。テロ組織「動物解放同盟(ALA)」が生物科学研究所を襲撃し、妊娠したメスのチンパンジーが保護されます。彼女から生まれたのが、ヒューマンジーのチャーリーした。15年後、ミズーリ州で人間の両親に育てられたチャーリーは、地元の高校に通うことになります。チャーリーの初めての友達は、頭脳明晰だけど「陰キャ」なルーシー。しかし、チャーリーとルーシーは平穏な高校生活を送ることを許されません。ALAは“ヴィーガンテロ”と呼ばれる爆破テロを起こし、チャーリーを仲間に引き入れるべく執拗につけ狙います。さらに、地元警察やFBIもチャーリーを監視しています。

『ダーウィン事変』は、ストーリーの切り口、展開、テンポなど、さまざまな点で映像的作品でもあります。海外ドラマにハマっているという方も、絶対に面白く読める漫画です。

なんで 人間だけは殺して食べちゃダメなの?

『ダーウィン事変』がなぜ話題なのか。もう一つの大きな理由は、物語のなかで、チャーリーの存在が、私たち人間が当たり前だと思っていることが決してそうではない、ということを的確に明らかにしているからです。

例えば1巻、ALAの“ヴィーガンテロ”のあとのこと。チャーリーの同級生は、ヴィーガンであるチャーリーに、ヴィーガンの偏った“正義”を問いただします。対して、チャーリーは答えます。「ボクに気兼ねなくなんでも好きに食べればいい 鳥でも 牛でも 豚でも 魚でも 人間でもーー」。そして言うのです。「なんで 人間だけは殺して食べちゃダメなの?」。
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(c) うめざわしゅん/講談社
人間は人間を特別だと思っている。私たちは、私たちが属する集団を、あるいは自分自身を特別だと思っている。それはほぼ完全に無意識で、自分がそう思っていることにすら気づきません。でも、チャーリーの「なんで 人間だけは殺して食べちゃダメなの?」という言葉は、その独善性を炙り出しているのです。

この独善性は、『ダーウィン事変』にも描かれる、差別やテロ、ネットいじめ、人権と動物の権利など、現代社会の抱えるさまざまな問題と矛盾、すべての根底にあるように思うのです。
 

チャーリーは、“知らない世界の見え方を教えてくれる存在”

「ヒューマンジー」のチャーリーは、なぜ生まれたのでしょうか? 人にとって、彼は福音なのでしょうか、災厄なのでしょうか? その問いも人間の独善性そのものなのかもしれませんが、やはり考えてしまいます。

ルーシーは言います。チャーリーは、“知らない世界の見え方を教えてくれる存在”。
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(c) うめざわしゅん/講談社
この世は残酷で理不尽で苦痛に満ちている。そう語る保安官補のフィルに、チャーリーの育ての父であるバートは、異を唱えます。私は人間に絶望していない。現実は決して普遍じゃない。「生きることは変わることだ」。

作者のうめざわしゅんさんは、大変な量の文献を読み込んだうえで、『ダーウィン事変』に落とし込んでいるそうです。

現実に対して思考をやめないこと、あきらめないこと。それが今よりも少しいい未来につながる道なのではないか。『ダーウィン事変』は、そんなことを示してくれている漫画なのではないかと思うのです。

海外ドラマ的なミステリー要素もいっぱい!

なんだか少し小難しいことを書いてしまったかもしれませんが、『ダーウィン事変』は漫画ならではの面白さも満載です。

人よりもインテリジェンスで、チンパンジーよりも身体能力が高い。そんなチャーリーはヒーローとしてもかっこよく、ALAと戦ったりするアクションシーンは見どころです。チャーリーにとってルーシーは友達なのか、恋の相手なのか、二人の関係も気になります。

また、ストーリーも急展開です(とくに3巻以降)。チャーリーの遺伝的父親・天才生物学者のグロスマン博士はどこへ消えたのか? なぜ15年もたってから、ALAはチャーリーを狙うようになったのか? ミステリー的な要素もいっぱいで(そこもやはり海外ドラマっぽいです)、現在4巻まで発売中ですが、非常に続きが気になります。

「漫画の日」を期に、ぜひ今年大注目の『ダーウィン事変』の世界を楽しんでいただけたらと思います。
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