《試し読み付き!》
『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』
“ママ友” その言葉の響きにあなたはどんな印象を持ちますか? 「子育ての心強い味方」「悩みを共感しあえる」といったプラスのイメージを思い浮かべる人もいれば、「面倒くさそう」「うわべだけの関係」というようなマイナスの感情を思い浮かべる人もいるでしょう。
自分軸ではなく、子どもを通して知り合う“ママ友”は、これまでの人間関係とは少し違うところもあるのかもしれません。野原広子さんの『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』は、子育てママたちが抱える心の闇を描き話題を呼んだセミフィクションコミックエッセイです。
「本当に怖いのは人なんだな……」と思ったり、「自分の周りでも起こっているかもしれない……」とヒヤヒヤしたり、いろんな感情渦巻く本作の魅力をお届けします。
あらすじ
郊外に住むサキ(32歳)は、一人娘ミイとサラリーマンの夫の3人暮らし。ママ友のリエとはなんでも打ち明けられる間柄だったはずが、あることが理由で、ハブられることになってしまった……。子育て中のママたちが抱えるそれぞれの事情と、地味にぶつけられ続ける周囲の心なき言葉。それらで心が持たなくなったとき、「悪意」は伝染し、小さな世界を浸食していく。


©野原広子
もし自分がいつもの定位置からはじかれたら……
「聞こえてるのに無視してんだよね」……キューーっと胃が痛くなるようなシチュエーションから始まる物語。サキは仲が良かったはずのリエから無視され、周りのママ友からも距離を置かれています。
幼稚園の送迎のときママたちが何人か集まって喋っているお馴染みの光景も、自分が無視されているとなると急に遠い世界のように感じるかもしれません。その輪の中にいるときは、そんなふうには思っていなかったけれど、案外自分はそこに固執していたのかもしれないと気がつかされたり、外から見てみるとその輪は違う形に見えたり。
ある日突然そこからはじき出されてしまうのを想像しただけでもう幼稚園に行くのも憂鬱になってしまいそうですが、サキはそれでも自分は笑顔で挨拶をすると心に決めます。毎日のようにお茶やランチをするほど仲が良かったサキとリエにいったい何があったのでしょうか……。

©野原広子

©野原広子
「〇〇ちゃんのママ」から始まる関係
「田中サキ」と「久保田リエ」ではなく、「ミイちゃんのママ」と「ののちゃんのママ」として知り合う。ここがまずママ友とこれまでの人間関係とは違うところではないでしょうか。昔だったらもっと気軽にできていた名前呼びやあだ名呼びが、なんとなくはばかられるような気持ちになる経験をした人も少なくないはず。
年齢も違う、育ってきた環境も違う、最初の共通項は自分ではなく子ども。そこから築いていかなければならない“ママ友の人間関係”。深くかかわらず、挨拶くらいでいいんじゃない? そう考える人も多いと思います。けれど、毎日のように送迎や行事で顔を合わせ、子ども同士が仲良くなれば、だんだんとママたちの距離も縮まっていくもの。

©野原広子
そして、子ども同士が仲良しでも、親同士が必ずしも意気投合するわけではない。そこがまた難しいところかもしれません。少し違和感を感じて距離を取ろうとしても、「もし子ども同士にも影響が出たら……」と考えると割り切ることもできない。
名前の呼び方や保護者会での座席など、些細なところからもふたりの間にできている溝が深まっていることがわかり、すごくシンプルな一コマ一コマの中に、サキの孤独感がギュッと詰まっているようで胸が苦しくなります。

©野原広子

©野原広子
タイトルにある「子どもが同学年という小さな絶望」の本当の意味とは……
物語では、サキとリエ双方の心情が描かれていくので、どこですれ違いが起きたのかわかりますが、ふたりは自分の本当の気持ちを隠したまま。お互い憎しみを抱えたままです。
そんな中、「リエが二人目を妊娠している」ということを知ったサキは自分を見失いそうになるくらい追い詰められます。一方のリエは念願の二人目を授かりながらも、常に周りの人たちからの目を気にし続けます。リエはいわゆるママ友の中の“ボス”のような存在。子どものことも自分の状況も周りと比べ、結局自分で自分をがんじがらめにしているように思えます。
サキはパートを始め、辛く苦しいママ友の世界だけではないことを少しずつ実感し始めます。幼稚園生活もあとちょっと。小学校になればこのママ友の輪から離れられる。そう気持ちを切り替えていくサキですが……。最後のリエのセリフと表情が本当にゾッとして鳥肌モノ。
自分の中にもいるかもしれない“サキとリエ”
「自分がそして自分の子どもが少しでも優位でありたい」という、ドロドロとした渦巻く気持ちは気づかないだけで(もしくは気づかないフリをしているだけで)誰の中にもあるものかもしれません。そこを丁寧に描いていくこの作品には「いつでも自分がそうなってしまうかもしれない」怖さがあるのでは、と思います。
そして、「自分も知らず知らずのうちに誰かの気持ちを踏みつぶしているかもしれない」その怖さもジワジワ広がります。自分がサキの立場だったらどのように振る舞うか、リエに対してどんな言葉をかけるのか、読み終わってもずっとグルグル考えてしまいそう。
裏切りや嫉妬、そして孤独感など“女性あるある”が随所に散りばめられたママ友マンガの決定版『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』、まずは試し読みからじっくりとお楽しみください。
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©野原広子