「男性学」から学ぶ、今よりもっと快適に働くためのヒント Vol,4
“男の事情”も知り、その背景にある社会の構造にも目を向ければ、今よりもっと快適に働くためのヒントが見えてきそう。そんな希望を抱きながら、日本の男性学の今を知る2人の識者に話を聞きました。
そんなことまで考えてあげなくていい
気にしてあげるのはやめて、女性は自分の居ごこちを追求すればいい
「『周囲と協調しなければならない』という社会からの抑圧は女性のほうが強く受けているんですよね。だから今の職場が息苦しいと思うなら、必死に耐えようとしたり、ウマが合わないおじさんたちの気持ちをケアしたりすることまで考えずに、転職して居心地の良さそうな会社に移ることを検討するべきではないかと。
その結果、女性にとって働きにくい会社が淘汰(とうた)されていくかもしれません。あるいは『おかしい』と思ったことはどんどん上司や周囲に言っていきましょう。
相手の気持ちも尊重しつつ、自分の言いたいことを伝えるアサーティブな話し方を身に付ければ臆することはありません。ジェンダーロールに縛られずに女性たちが自分ファーストの選択をしていくのでいいと思います」(澁谷さん)
男性が自分たちのことを語りはじめた
「これまで『桃山商事』に悩みを打ち明けにくるのは女性がほとんどだったのですが、最近は若い世代の男性が少しずつ増えてきています。『男は弱みを見せてはならない』という規範にがんじがらめな上の世代よりも、お互いの体験談をシェアして見識を広げたり価値観を更新することに前向きに映る。
ジェンダー観の他にもさまざまな要因が関係しているとは思いますが、社会に押し付けられてきた『男らしさ』からの脱却を目指し、男性は男性で自分たちの振る舞いを内省し、新たなあり方を模索し始めているのかもしれません」(文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表 清田さん)
「男の子は泣いてはいけない」という固定観念を幼いころから刷り込まれることによって、男性は感情的な痛みを表現するのが苦手な傾向があり、女性は他人の気持ちに寄り添うことが得意であると言われてきた。でも、そんな個人的な感情に共感し、癒やす役割は男性自身が身につけてもいい。